ディヤルバクル

ディヤルバクルの概要

ディヤルバクル（Diyarbakır）は、トルコ南東部に位置する都市で、ディヤルバクル県の県都です。ティグリス川のほとりに位置し、古代から交通の要衝として栄えてきました。多様な歴史と文化が交錯するこの都市は、その独特な魅力で人々を惹きつけます。人口は約58万9千人（2003年）ですが、周辺のスラムを含めると100万人を超えるとも推定されています。住民の多くはクルド人であり、クルド文化の中心地の一つとなっています。イスタンブールやアンカラとの間には空路が開かれており、トルコ空軍の基地も所在しています。

歴史

ディヤルバクルは、古代にはアルメニア王国の首都ティグラナケルトの近くに位置していたと考えられています。ローマ帝国時代にはアミダと呼ばれていましたが、7世紀にアラブ人に征服されて以降はアーミドと呼ばれるようになりました。イスラム時代には、この地域はジャズィーラ地方と呼ばれ、アーミドは東ローマ帝国との境界地域における重要な拠点でした。特に「バクル族の国」（ディヤール・バクル）と称され、この名前が現在の都市名の由来となっています。14世紀末には白羊朝が勢力を拡大し、16世紀にはオスマン帝国に占領されました。その後、地方名であったディヤール・バクルが都市名としても定着し、トルコ共和国時代には正式名称となりました。現在のディヤルバクルの名称は、「銅の国」を意味します。

ディヤルバクルには、297年に築かれたとされる全長5.5kmの玄武岩の城壁が旧市街を囲んでいます。市内には、中世のモスクやマドラサが数多く残っており、特に11世紀のウル・ジャミイ（大モスク）や16世紀のデリレル・ハン・マドラサが有名です。また、紀元前1世紀に創建されたアッシリア教会も現存し、信仰の場として機能しています。

第一次世界大戦中には、ディヤルバクルで暴動が発生し、アッシリア人やアルメニア人の住民の多くが追放されました。オスマン帝国崩壊後には、一時フランス軍が占領しましたが、1925年にはケマル・アタテュルク政権に対するクルド人の大規模な反乱が起きました。1984年にクルド労働者党（PKK）がゲリラ闘争を開始して以降は、治安が悪化し、人口が減少しました。1990年代前半には、PKKやトルコ・ヒズボラの活動が活発化しましたが、2000年にPKKが武力闘争を停止した後、町は徐々に平静を取り戻しました。2002年には、15年間続いていた非常事態宣言が解除されました。

1993年にはディヤルバクル市が大都市自治体に指定され、2004年には指定範囲が拡大されました。2012年の行政区画改編により、ディヤルバクル大都市自治体とディヤルバクル県は同一の範囲となっています。

文化とスポーツ

ディヤルバクルには、ディヤルバクルスポル（1968年設立）とアーミドSFK（1990年設立）という2つのサッカークラブがあります。これらのクラブは、地域住民にとって重要な存在です。

また、2015年には「ディヤルバクル城塞とヘヴセル庭園の文化的景観」がユネスコの世界遺産に登録されました。これは、ディヤルバクルの豊かな歴史と文化を象徴するものです。

気候

ディヤルバクルは、内陸性気候で、夏は非常に暑く乾燥し、冬は寒く湿った気候となります。年間を通して気温の変動が大きいため、訪れる際は注意が必要です。

まとめ

ディヤルバクルは、古代から様々な民族が交錯し、独自の文化を育んできた都市です。歴史的な建造物やクルド文化、サッカークラブ、そして世界遺産登録など、多様な魅力を持っています。激動の歴史を経て、現在では平穏を取り戻しつつあります。この街を訪れることで、トルコの歴史と文化の奥深さを感じることができるでしょう。

関連項目

• - クルディスタン

外部リンク

• - （トルコ語） Governorship of Diyarbakır)
• - （トルコ語） Diyarbakırspor funs, news, informarmation)
• - （トルコ語） YerelNET Diyarbakır)
• - （トルコ語） Information on Diyarbakır)
• - Over 1000 well-organized pictures of major sights

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