ラミントン (菓子)

ラミントンとは

ラミントンは、オーストラリアのクイーンズランド州発祥のデザートで、四角形にカットしたスポンジケーキをチョコレートソースでコーティングし、乾燥ココナッツをまぶしたものです。シンプルながらも奥深い味わいが特徴で、オーストラリアをはじめ、南アフリカなどでも広く親しまれています。カフェやランチバー、ベーカリー、スーパーマーケットなどで見かけることができ、日常的なおやつとして、また特別なイベントの際にも楽しまれています。

ラミントンの特徴

ラミントンの基本的な構造は、キューブ状にカットされたスポンジケーキをチョコレートソースでコーティングし、その上から乾燥ココナッツをまぶすというものです。スポンジケーキは、チョコレートソースを吸収しやすいように、外層が薄くコーティングされます。また、カットしたスポンジケーキの間に生クリームやイチゴジャムを挟むこともあり、バリエーション豊かな楽しみ方ができます。ニュージーランドではラズベリー味、オーストラリアではレモン味のラミントンも人気があります。スポンジケーキのサイズは、一辺が約4cmとされています。

ラミントンの歴史

ラミントンの名前の由来には、諸説あります。最も有力な説は、1896年から1901年までクイーンズランド州総督を務めたラミントン卿、またはその妻にちなんで名付けられたというものです。ラミントン卿が愛用していた帽子に形が似ていたからという説や、スコットランドのラミントン村に由来するという説もありますが、いずれも確固たる証拠はありません。ラミントン卿の料理人が、余ったスポンジケーキをチョコレートソースに浸し、ココナッツをまぶしたのが始まりという説もあります。

ラミントンの発祥についても諸説があり、ラミントン卿が避暑のために訪れたハーラックストン邸で初めて提供されたという説や、ラミントン卿のシェフであるアーマンド・ガーランドが、急な来客に対応するために考案したという説などがあります。ガーランドが、前日に焼いたスポンジケーキをチョコレートに浸し、ココナッツをまぶして提供したところ、ラミントン夫人のゲストに非常に好評だったという逸話も残っています。

初めて「ラミントンケーキ」という名前が記録されたのは、1896年のクイーンズランド・タイムズ新聞の記事です。ただし、この記事ではイベントの名前として登場しているだけで、ケーキの内容について詳しく記述されていません。1900年にはクイーンズランド・カントリー新聞でレシピが見つかり、その後、1901年にはシドニーの新聞でも紹介されるようになり、急速に広まりました。

2007年には、ラミントン卿が実際にはラミントンを好んでいなかったという話が浮上しましたが、同時期の資料による裏付けはありません。

現代におけるラミントン

現在、ラミントンはオーストラリアで非常に人気のあるデザートです。学校や教会のイベントでは、募金活動の一環として「ラミントン・ドライブ」と呼ばれる販売活動が行われることがあります。商業用のパン屋では、大きなシート状に焼かれたケーキをカットして、チョコレートソースとココナッツでコーティングする作業をボランティアが共同で行います。また、アメリカのクリーブランドでは、「ココナッツ・バー」という名前で親しまれており、ロサンゼルスなど他の都市でも、さまざまな名前で販売されています。ラム酒エキスを加えたラムバーなどのバリエーションも人気があります。

ラミントンは、レモン、ラズベリー、イチゴなど、さまざまなフレーバーのバリエーションも楽しまれています。2006年には、7月21日がオーストラリアの「ナショナル・ラミントン・デー」として制定されました。同年9月には、クイーンズランド州のナショナル・トラスト団体が、ラミントンをクイーンズランド州を代表するシンボルの一つとして挙げました。

世界最大のラミントンを作る試みも行われており、2011年にはオーストラリアのトゥーンバで2361キロの巨大なラミントンが作られ、ギネス記録を更新しました。このラミントンは、販売され、その収益は地元の小児科基金に寄付されました。

このように、ラミントンは、その歴史的な背景と多様な進化を遂げながら、現在も多くの人々に愛され続けているデザートです。

もう一度検索