ラムセス10世

ラムセス10世について

ラムセス10世（紀元前1108年? - 紀元前1098年?）は、古代エジプト第20王朝における第9代ファラオです。彼の即位名は「ラーの正義を守る者」という意味のケペルマアトラーであり、誕生名はアメンヘルケプシェフでした。彼の治世については多くの謎が残されており、詳細な事実が不明な点が多いことが特徴です。

謎に包まれた系譜

ラムセス10世の先代、ラムセス9世との関係は不明瞭です。ラムセス9世までのファラオたちは、彼らの血縁関係についての情報が残されており、ラムセス3世の息子や孫であることが明確にされていました。しかし、ラムセス10世に関しては、彼との血縁を示す記録がまったく存在しないため、彼の系譜上の位置づけは特定できていません。次代のラムセス11世との親子関係が存在する場合、同じ王朝に属する王妃ティティがラムセス10世の妻である可能性も考えられますが、大ハリスパピルスなどの資料から、ティティはラムセス3世の妻である可能性が高いという見解が支配的です。

治世の状況

ラムセス10世の治世については、記録が非常に限られています。彼が統治を開始してからの最も新しい記録は、治世の3年目にあたる時期の日付が刻まれたもので、王家の谷における王墓の建設に従事する作業員の日誌から確認されています。この日誌には、砂漠地帯に住むリビア人による襲撃が頻繁に起きており、作業員がストライキを行いながら墓の建設を中断したとの記録が残されています。これは、当時の社会情勢を反映していると考えられ、多くの民がデルタ地域に流入していたことが示唆されています。

また、ヌビア地域における碑文が残されていることから、ヌビアはエジプトの支配下にあったことが確認されており、何らかの事業も続けられていたことがわかります。この碑文は、新王国時代のファラオの最後の記録とも言われています。

治世年数の問題

ラムセス10世の治世がどのくらい続いたのかについても、解明されていません。多くの研究者が彼の治世を約4年とする説を支持していますが、一部ではテーベで発見された治世8年目の日付をラムセス10世に帰属させる説もあり、彼の統治が約9年にわたったとも考えられています。王家の谷にある彼の墓（KV18）は未完成であり、そのミイラも発見されていないため、ラムセス10世の生涯や治世の全体像を知ることは難しい状況です。

まとめ

ラムセス10世は、古代エジプトの歴史の中で重要な位置を占めるファラオであるにもかかわらず、多くの謎に包まれた存在です。彼の即位名や系譜、治世の詳細については解明されていない部分が多く、今後の研究によって新たな事実が明らかになることが期待されています。

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