ラムセス11世

ラムセス11世の治世と功績

ラムセス11世（Ramesses XI、紀元前1098 - 1070年頃）は、古代エジプトにおける第20王朝の第10代ファラオとして知られ、即位名は「ラーの正義を留め、プタハに選ばれた者」を意味する「メンマアトラー・セテプエンプタハ」です。彼の治世は新王国時代の終焉を象徴する時期であり、古代エジプトの歴史において非常に重要な役割を果たしました。

家族関係と背景

ラムセス11世の先代、ラムセス10世との関係は曖昧ですが、ラムセス10世と先々代のラムセス9世が親子である可能性も指摘されています。一方、同王朝の王妃ティティは、ラムセス10世の妻にあたるかもしれませんが、文献の分析によれば、彼女はラムセス3世の妻であったと考えられています。これは大ハリスパピルスなどの史料に基づく議論です。

支配権の変遷

ラムセス11世の治世中、上エジプトの実権はテーベに拠点を置くアメンの神官団が握っており、王の統治権は主に下エジプトに限られていました。アメン神官団の権力は安定していなかったため、上エジプトの支配を巡る争いが続く中、ラムセス11世の権威は次第に揺らぎ、神官団による影響が強まっていきます。

治世の中頃、ヌビアの総督パネヘシが大神官アメンヘテプを失脚させ、テーベの権力を握ります。その後、軍司令官のヘリホルが台頭し、彼もまたアメンの大神官となり、宰相などの重要職を兼任しました。しかし、実際のヌビアは依然としてパネヘシの影響下にありました。

テーベの独立状態

ヘリホルは独自の年号「ウヘム・メスウト」を使用し、自らの名を神殿に刻むことで、ほぼ独立国家としての地位を確立しました。これにより、エジプト内部では南北二つの王家が共存する事態が生じました。政治的な緊張が続く中、ラムセス11世はその権力基盤を強化しようとしましたが、実際には神官団の影響力が強化されていました。

ヘリホルとピアンキの遠征

治世28年目頃には、ヘリホルの後継者であるピアンキがヌビアに対して遠征を行います。この遠征は、パネヘシの討伐を名目としたものですが、実際には他の敵に直面したパネヘシへの援軍という説もあり、両者の関係は曖昧なままでした。

ラムセス11世の死とその影響

ラムセス11世は同王朝で2番目に長い約28年から30年間も王位にありましたが、彼の死は第20王朝の系譜を終わらせることとなります。彼の治世の終了は新王国時代の終焉を意味し、古代エジプトの歴史における重要な転換期となりました。彼の死後は、タニス地域を治める有力な諸侯、ネスバネブジェトが後を継ぎ、第21王朝を創始しました。これによりエジプトの政治構造は大きく変わり、次の時代への移行が進むこととなりました。

結論

ラムセス11世は古代エジプトの歴史において大きな功績を残し、その治世は複雑な政治状況の中で展開されました。彼の時代は、新王国時代の終焉を迎えた重要な時期であり、エジプトの歴史における多くの変化を導いたと言えるでしょう。

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