ラワルピンディ (仮装巡洋艦)

ラワルピンディ（HMS Rawalpindi）

ラワルピンディは、イギリスの客船として1925年に建造され、当初は客運航に使用されていました。名前はインドの都市ラーワルピンディーに由来しています。この船は、その後第二次世界大戦の渦中で、イギリス海軍に徴用され、武装を施された仮装巡洋艦として新たな命を吹き込まれました。

船の歴史

民間船としての起源

1925年3月26日に進水したラワルピンディは、ハーランド・アンド・ウルフ社によって建造されました。この船は、当初P&Oラインの一員としてロンドンとボンベイ間の航路に就役し、多くの乗客を運びました。しかし、1939年に第二次世界大戦が勃発すると、イギリス海軍は商船の徴用を開始し、ラワルピンディもその対象とされました。

仮装巡洋艦への改装

1939年8月26日、ラワルピンディはイギリス海軍に徴用され、その後仮装巡洋艦に改装されました。この改装では、旧式のBL 6インチ艦砲8門とQF 3インチ高射砲2門が装備されました。改装が完了した後、ラワルピンディは北方哨戒隊に配属され、特にアイスランド近海での通商破壊任務に就くこととなります。

ラワルピンディは、1939年10月19日にデンマーク海峡でドイツの石油タンカー「グンゼンヘイム」を発見し、移乗攻撃によって捕獲し自沈させました。このような行動は、ラワルピンディのその後の運命を暗示していました。

フェロー諸島沖海戦

戦争の進行に伴い、ラワルピンディは1940年11月23日に重大な遭遇を果たします。この日、北方での哨戒中にラワルピンディは、ドイツ戦艦「シャルンホルスト」と出会いました。ケネディ艦長はこの接触を上層部に報告し、ドイツ艦隊から降伏を求められましたが、彼はその要求を断りました。以下の文が彼の誇り高さを示しています。

「我々は戦います。」

ラワルピンディは、シャルンホルストに対して攻撃を開始しました。この海戦は、武装商船と強力な軍艦との間の圧倒的な力の差を如実に表すものでした。シャルンホルストからの砲撃とともに、その姉妹艦である「グナイゼナウ」も攻撃に加わり、ラワルピンディは大火災を引き起こしました。最終的に、3時間の漂流の末、沈没を果たしました。

この海戦で、ラワルピンディの艦長ケネディを含む275人の乗員が命を失い、P&Oラインの乗員の多くも犠牲となりました。幸運にも生き残った37人は、いくつかの救命ボートに乗り分けられ、ドイツ艦隊によって救助された者もいれば、同様に仮装巡洋艦へ改装された「チトラル」によって救助された者もいました。

この戦闘によるラワルピンディの行動により、イギリス本国艦隊はドイツ艦を追撃しようとしましたが、失敗に終わりました。シャルンホルストらも、進攻を断念して祖国へ帰還しました。この海戦の数日後、イギリスのネヴィル・チェンバレン首相は、議会でラワルピンディの勇敢な行動を称賛し、ケネディ艦長には追贈勲章を授与しました。

姉妹船

ラワルピンディの姉妹船には、「ラーンチ」、「ランプラ」、「ラージプタナ」がありました。これらの船もまた仮装巡洋艦に改装されましたが、中でもラージプタナは1941年に沈没の運命を辿りました。全体として、ラワルピンディの物語は、海戦の歴史の中でも特に感銘深いものの一つとなっており、彼女の勇敢な行動は今日でも多くの人々に語り継がれています。

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