ランチア・リブラ

リブラ (LYBRA) の概要とデザイン

リブラは、1999年9月にフランクフルト・モーターショーにて発表されたランチアが手掛ける自動車です。デドラの後継モデルとして登場し、ボディタイプは4ドアセダンとステーションワゴンの2種類を提供していました。リブラは、同じフィアットグループのアルファロメオ156のフロアパンを基にしつつ、独自のサスペンション・エンジン構成や安全機能、ボディ剛性、さらには内装の質感までこだわりを持った仕上がりを追求しました。これにより、上級クラスのカッパを超える性能と魅力を持つモデルとなりました。

当初リブラは、少数が日本にも並行輸入されたものの、1990年代には日本におけるランチアの正規輸入がなくなり、その後はほぼ市場から姿を消しました。2005年には生産が終了しましたが、当時のデザインや性能へのこだわりは今でも評価されています。

エンジンとモデルバリエーション

リブラには様々なエンジンモデルが用意されていました。ガソリンエンジンは、1,600ccの直列4気筒DOHC16バルブが103PS、1,800ccの直列4気筒が131PS、そして直列5気筒20バルブの2,000ccが154PSというスペックを誇ります。シリーズ中盤からは、2,400ccの直列5気筒エンジンも加わり、154PSを発揮しました。ディーゼルモデルもあり、1,900ccの直列4気筒コモンレール直噴ターボは105PS、2,400ccの直列5気筒コモンレール直噴ターボは131PSの出力を持ち、ドライバーの様々なニーズに応えました。

デザインの背景

リブラのデザインには、エンリコ・フミアが関与しています。彼は、ピニンファリーナを離れた後、ランチアのデザインセンター「チェントロスティーレ」を立ち上げ、初代イプシロンのデザインを担当した実績があります。リブラのデザインもこのイプシロンと共通のコンセプトに基づいており、特にフロントビューやリアデザインにおいてはその整合性を意識されていました。しかし、デザインに関する意見の相違からフミアは発表前にランチアを離れ、その後を引き継いだマイケル・ロビンソンがリブラのフロントマスクを中心に再デザインを行いました。このような経緯が、リブラの独特なデザインを形作っています。

また、ステーションワゴンモデルは、セダンのドア形状をそのまま活用しつつ、荷室の追加を実現しており、デザインの一貫性を保っています。フロントガラス上端からテールランプに至るシルバーのルーフラインは、そのデザイン手法が引き継がれており、見た目の美しさだけでなく水の排出機能も考慮されています。

内装と素材

内装においてもリブラは高級感を追求しています。アルカンターラによる仕立てやポルトローナ・フラウ製の本革トリム、またウッドトリムやエボナイトに似た材質が巧みに配置され、贅沢でありながら機能的な空間を提供しています。これらの素材は、乗る人々に特別な体験を届けることを目的としており、ランチアの伝統を受け継いでいます。

車名の由来

「リブラ」という名称は、天秤座を意味する「Libra」に由来しています。これは、車両設計において均衡を重要視するという理念が反映されています。

まとめ

ランチア・リブラは単なる自動車以上の存在であり、その設計とデザインには多くの情熱が注がれています。そのユニークなスタイルと高級感は、今日でも車好きに愛され続けています。

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