ランドスケープ (細川俊夫)

細川俊夫の「ランドスケープ」は、1992年から1994年にかけて作曲された、複数の作品から構成されるシリーズです。各作品は、それぞれ異なる楽器編成を持ち、独自の音楽的特徴を備えています。

ランドスケープ I
1992年にアルディッティ弦楽四重奏団の委嘱により作曲された弦楽四重奏曲です。演奏時間は約14分。同年5月21日に同四重奏団によって東京で初演されました。

ランドスケープ II
1992年にジュネス・ミュジカル・グリュエリアンヌからの委嘱で作曲された、ハープと弦楽四重奏のための作品です。演奏時間はおよそ15分。1993年4月30日に、ノートブルガ・プスカスとシネ・ノミネ弦楽四重奏団によりスイスのビュルで初演されました。

ランドスケープ III
1993年にNHK交響楽団からの委嘱で作曲されたヴァイオリン協奏曲です。演奏時間はおよそ16分半。同年5月4日に、アーヴィン・アルディッティの独奏、外山雄三の指揮、NHK交響楽団の演奏で初演されました。

編成は以下の通りです。
独奏ヴァイオリン
フルート2 (アルト・フルート、ピッコロ持ち替え)
オーボエ2
クラリネット2 (バスクラリネット持ち替え)
ファゴット2 (コントラファゴット持ち替え)
ホルン2
トランペット2
トロンボーン2
テューバ
パーカッション4 (タムタム2、バスドラム2、ゴング3、マラカス2、ギロ、アンティーク・シンバル、スネアドラム、トライアングル3、ヴィブラフォン、サスペンデット・シンバル3、グロッケンシュピール、むち)
ハープ
弦楽合奏

ランドスケープ IV
1993年にクフモ室内楽音楽祭からの委嘱で作曲された弦楽五重奏曲です。演奏時間はおよそ18分。同年7月27日にクフモ室内音楽祭の一環として、エスコ・ライネとジャン・シベリウス弦楽四重奏団によってフィンランドのクフモで初演されました。

ランドスケープ V
1993年に北九州国際音楽祭からの委嘱で作曲された、笙と弦楽四重奏のための作品です。演奏時間はおよそ16分。同年の北九州国際音楽祭の一環として、宮田まゆみとジャン・シベリウス弦楽四重奏団によって福岡で初演されました。

ランドスケープ VI -雲の風景-
1994年にフランス文化庁からの委嘱で作曲された、室内オーケストラのための作品です。演奏時間はおよそ16分。同年5月27日に、プラハの春国際音楽祭の一環として、ポール・メファノの指揮、アンサンブル2e2mによって初演されました。

編成は以下の通りです。
フルート (ピッコロとアルト・フルート持ち替え)
オーボエ (イングリッシュ・ホルン持ち替え)
クラリネット (バスクラリネット持ち替え)
ファゴット (コントラファゴット持ち替え)
ホルン
トランペット
パーカッション (タムタム、バスドラム、サスペンデット・シンバル3、アンティーク・シンバル)
ハープ
* 弦楽五重奏

これらの作品群は、細川俊夫の音楽の特徴である、日本の伝統音楽の要素と現代音楽の語法を融合させたものであり、自然や風景、そして内面の感情を繊細に表現しています。各作品は独立した存在でありながらも、「ランドスケープ」という共通のテーマのもとに、互いに関連しあい、全体として一つの大きな音楽的景観を形成しています。

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