リザリア

リザリア（Rhizaria）は、真核生物における主要な系統の一つとして認識されています。その名称は、ギリシャ語で「根」を意味する「rhizo-」に由来しています。

この系統群に属する生物は、形態的に極めて多様性に富んでいます。しかし、その大部分を占めるのは、糸状、網状、あるいは内部に微小管が通った特殊な仮足を発達させるアメーバ様の単細胞生物です。驚くべきことに、彼らの多くは、自身の体を覆うための堅牢な殻や、時として非常に複雑な構造を持つ骨格を作り出します。地球上に残る原生生物の化石の大部分は、こうしたリザリア類が形成した殻や骨格に由来すると言われています。

細胞内の特徴としては、ほとんど全てのリザリア類が、ミトコンドリアのクリステが管状になっているという共通点を持っています。

リザリアは主に以下の三つの大きなグループに分けられます。

ケルコゾア（Cercozoa）
土壌環境などでよく見られる、多様な形態を持つアメーバや鞭毛虫が含まれます。多くの種が細い糸状の仮足を持ち、様々な生態的地位を占めています。
有孔虫（Foraminifera）
主に海底の堆積物上で生活する底生生物として一般的なアメーバ様生物です。彼らは特徴的な網目状に広がる仮足（網状仮足）を持ち、しばしば石灰質などの複雑な構造を持つ殻を形成します。
* 放散虫（Radiolaria）
海洋プランクトンとして広範囲に分布するアメーバ様生物です。中心体から放射状に伸びる軸足を持ち、美しいシリカ（二酸化ケイ素）製の骨格を持つ種が多く知られています。

これら主要なグループに加え、ケルコゾアの一部とされるか、あるいは分子系統解析によっては有孔虫と近縁と考えられる他のグループも存在します。例えば、植物に寄生するネコブカビ類（Phytomyxea）や、動物に寄生するアセトスポラ類、そして大型で球状のグロミア（Gromia）のような特異な形態のアメーバが挙げられます。

リザリアというグループ全体は、主に遺伝子の類似性に基づいた分子系統解析によって、互いに近縁であることが示されています。特に、ケルコゾアの概念を拡大したグループとして捉えられることが多いようです。この「リザリア」という名称は、イギリスの動物学者トーマス・キャバリエ＝スミスによって2002年に提唱されました。彼が当初このグループに含めていた生物には、上記の他に太陽虫の一部（有中心粒類）やアプソゾアなども含まれていました。

このように、リザリアは形態的な多様性と分子レベルでの共通性を持つ、真核生物の中でもユニークで重要な系統群です。

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