リジェ・JS P2

リジェ JS P2：LMP2カテゴリーの傑作レーシングカー

リジェ JS P2は、フランスのオンローク・オートモーティブ社が設計・製造した、ル・マン・プロトタイプ（LMP2）カテゴリーのレーシングカーです。元レーシングドライバーであるギ・リジェ氏との提携により、「リジェ」の名を冠しており、2012年からレースで使用されていたオンローク社のモーガンLMP2の後継機として開発されました。

開発の経緯と特徴

当初、オンローク社はLMP1カテゴリーへの挑戦を計画していましたが、方針転換しLMP2カテゴリーに注力することになります。特に北米市場への展開を視野に入れ、特徴的なクローズドボディのデザインが採用されました。このデザインは、LMP1に必要な要件を全て満たしており、当時新設されたユナイテッド・スポーツカー選手権（USCC）のLMP2クラスとデイトナ・プロトタイプカーの重要な選択肢となりました。

ACO（フランス西部自動車クラブ）のLMP2カテゴリーのコスト上限を遵守するため、LMP1設計を進化させた設計思想が用いられています。エンジンは、日産、ジャッド、ホンダ製の様々なV型エンジンに対応できるよう設計されており、ハイ・ダウンフォース設定のスプリントレース仕様と、ロー・ダウンフォース設定のル・マン仕様の両方に対応可能です。

車名の「JS P2」は、ギ・リジェ氏とオンローク社の提携、そしてギ・リジェ氏の親友であった故ジョー・シュレッサー（Jo Schlesser）氏への追悼の意を込めて名付けられました。「JS」はシュレッサー氏のイニシャルであり、リジェの伝統的な命名方法を踏襲しています。

レースでの活躍

2014年3月に走行テストを開始し、同年6月のル・マン24時間レースでデビューを果たしました。これは1975年以来、リジェの名を冠したマシンがル・マンに参戦する初めての機会でした。

オーク・レーシングは2台のマシンを投入。1台は日産エンジン搭載で日産ワークスドライバーが、もう1台はホンダエンジン搭載で中国人ドライバーがそれぞれドライブしました。他にも、TDSレーシングが中古の日産エンジン搭載マシンで参戦するなど、複数のチームがJS P2を選びました。

デビュー戦では、TDSレーシングがLMP2クラス2位、オーク・レーシングが5位と7位に入賞。予選でも高いパフォーマンスを発揮し、TDSレーシングはポールポジションを獲得しました。その後も、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ、ユナイテッド・スポーツカー選手権、FIA世界耐久選手権などに参戦し、多くのチームがJS P2で成功を収めました。

2015年には、クローネ・レーシングがジャッドエンジン搭載のJS P2でUSCCとELMSに参戦。マイケル・シャンク・レーシングはホンダエンジン搭載のJS P2でUSCCにフル参戦し、デイトナ24時間レースでポールポジションを獲得しました。G-ドライブ・レーシングは日産エンジン搭載のJS P2でFIA世界耐久選手権に参戦し、好成績を収めました。

2016年には、エクストリーム・スピード・モータースポーツがホンダ製エンジン搭載のJS P2でUSCCに参戦し、デイトナ24時間レースとセブリング12時間レースの両方で総合優勝を達成するなど、JS P2は世界中のレースで高い競争力を示しました。

まとめ

リジェ JS P2は、優れた設計と信頼性、そして様々なエンジンへの対応力により、世界中のレーシングチームから高い評価を得たマシンです。ル・マン24時間レースをはじめ、多くのレースで輝かしい実績を残し、LMP2カテゴリーの歴史に大きな足跡を残しました。その成功は、オンローク・オートモーティブ社の技術力と、リジェブランドの伝統の融合によるものと言えるでしょう。

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