リスペクト (オーティス・レディングの曲)

「リスペクト」(Respect)



「リスペクト」は、オーティス・レディング1965年に作詞・作曲し発表した楽曲です。元々はレディングのアルバム『オーティス・ブルー』に収録され、シングルとしてもリリースされました。しかし、1967年アレサ・フランクリンがカバーしたことで、オリジナルを遥かに超える大ヒットとなり、音楽史における重要な楽曲として広く知られるようになりました。

オーティス・レディングのオリジナル



レディングによるオリジナルの録音は、ウィリアム・ベルがバッキング・ボーカルで参加したバージョンと、ロード・マネージャーであるディック・シムズが参加したバージョンの2種類が存在します。シングルに使用されたのはベルが参加したバージョンで、『オーティス・ブルー』のステレオ盤にはシムズが参加したバージョンが収録されました。この曲はBillboard Hot 100で35位、R&Bシングル・チャートで4位を記録し、レディングのライブでも頻繁に演奏されました。

1966年4月にはウィスキー・ア・ゴーゴーでのライブ録音が、1968年に発表されたライブ・アルバムに収録されました。また、1967年3月のヨーロッパ・ツアーや、モントレー・ポップ・フェスティバルでのパフォーマンスも音源として残されています。1992年には、「リスペクト」の別バージョンがコンピレーション・アルバムに収録されましたが、この録音に関する詳細は不明です。

アレサ・フランクリンによるカバー



アレサ・フランクリンは、アトランティック・レコード移籍後初のアルバム『貴方だけを愛して』のレコーディング・セッションで「リスペクト」を録音しました。フランクリンのバージョンは、オリジナルのアレンジに加えて、新しい歌詞が追加されています。キング・カーティスによるサックス・ソロは、サム&デイヴの楽曲「ホエン・サムシング・イズ・ロング・ウィズ・マイ・ベイビー」にインスパイアされたものです。また、フランクリンと妹キャロリンのアイデアで、タイトルのスペルを歌うパートや、「sock it to me」と歌うパートが追加され、楽曲に独自の個性を与えました。

フランクリンのカバーは、Billboard Hot 100とR&Bシングル・チャートの両方で1位を獲得し、1967年6月にはゴールドディスクに認定されました。グラミー賞では最優秀R&Bレコーディング賞と最優秀女性R&Bボーカル・パフォーマンス賞の2部門を受賞し、フランクリンにとって初の全英シングルチャート入りも果たしました。

社会現象としての「リスペクト」



アレサ・フランクリンの「リスペクト」は、公民権運動やフェミニスト運動におけるアンセムとして広く受け入れられました。歌詞に込められた「尊敬」への強い訴えかけは、当時の社会的なムーブメントと共鳴し、多くの人々に勇気と希望を与えました。1998年にはグラミーの殿堂入りを果たし、『デイリー・テレグラフ』が選出した「ベスト・カバー・ソングTOP50」では5位にランクインしました。さらに、「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では、2021年版で1位に輝いています。

ロックの殿堂は、フランクリンの「リスペクト」を「フランクリン最大の業績にして、ポピュラー音楽における不朽の金字塔」と評し、「ロックン・ロールを形作った曲」の一つとしています。

他メディアでの使用例



フランクリンの歌唱による「リスペクト」は、数多くの映画で使用されています。『アメリカン・グラフィティ2』、『マドンナのスーザンを探して』、『セント・エルモス・ファイアー』、『ミスティック・ピザ』、『フォレスト・ガンプ/一期一会|フォレスト・ガンプ_一期一会』、『ブリジット・ジョーンズの日記』、『トゥー・ウィークス・ノーティス』など、様々な作品でその印象的な歌声が響き渡っています。また、映画『ブルース・ブラザース2000』では、フランクリンとブルース・ブラザース・バンドが共演したバージョンが使用されました。

その他の主なカバー



「リスペクト」は、数多くのアーティストによってカバーされています。ジミー・スミス、ザ・ベンチャーズスティーヴィー・ワンダー、ラムゼイ・ルイス、ロータリー・コネクション、アン・ピーブルス、Adeva、ディーン・パークス、ジェニファー・バトゥンケリー・クラークソン、山崎まさよし、アンバー・ライリーなど、ジャンルを超えた様々なアーティストが、この名曲に独自の解釈を加えています。

「リスペクト」は、オーティス・レディングのオリジナルも素晴らしい楽曲ですが、アレサ・フランクリンのカバーによって、時代を超えて愛される普遍的な名曲となりました。音楽史における重要な一曲として、これからも多くの人々に感動を与え続けるでしょう。

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