リスペリドン

リスペリドンについて

リスペリドン（英: Risperidone）は、主に統合失調症の治療薬として使用される非定型抗精神病薬です。製薬会社ヤンセンファーマが開発し、商品名「リスパダール」として広く知られています。この薬剤は、ドーパミンD2受容体とセロトニン5-HT2受容体に作用し、統合失調症の陽性症状と陰性症状を改善します。

適応と承認

日本では1996年に厚生省から統合失調症治療薬として承認され、その後、特に自閉スペクトラム症に関連した易刺激性の改善にも使用されるようになりました。アメリカでは、躁病や自閉症に対しても有効性が承認されています。ただし、特に高齢者には必要最小限の使用が推奨されています。

ガイドライン

厚生労働省のガイドライン（2013年）では、認知症に伴う周辺症状への処方に関しては、非薬物的介入が第一選択とされています。また、患者やその保護者からの同意を得て行うべきとされています。日本医師会や日本老年医学会は、高齢者に対してはリスペリドンを最少限にとどめるべきとするガイドラインを設けています。知的障害のある患者への暴力行為に対しては、環境調整が推奨されていますが、一部では抗精神病薬の使用例が見られるため、さらなるガイドラインの整備が望まれています。

薬理作用

リスペリドンは中枢神経系に作用し、特にドーパミンとセロトニンのバランスを調整する効果があります。このため、統合失調症の症状を軽減し、患者のQOL（生活の質）を向上させることが期待されています。以前の抗精神病薬が満足な効果を示せなかった陰性症状に対しても、リスペリドンは効果が確認されており、その点でも評価されています。

副作用

リスペリドンには副作用が存在しており、使用時には注意が必要です。特に糖尿病に関連するリスクが報告されており、血糖値の定期的な測定が推奨されます。また、小児に対しては漫然とした長期投与は避けるべきです。立ちくらみや、服用初期の血圧低下に伴う不快感も一般的です。重篤な副作用には、悪性症候群や遅発性ジスキネジアなどがあり、筋肉の引きつりや発熱、嚥下困難、頻脈などが見受けられます。他にも、高プロラクチン血症による性機能障害、肥満、便秘、口渇といった多様な副作用があるため、服用には医師との十分な相談が必要です。

投薬時の注意点

更に、リスペリドンはCYP2D6とCYP3A4の酵素によって代謝されるため、他の薬剤との併用には注意が必要です。特定の薬剤との併用は効力を低下させたり、逆に副作用を強める可能性があるため、事前に医師に相談することが重要です。

製品の種類

ヤンセンファーマは、リスペリドンを「リスパダール」として錠剤、細粒、口腔内崩壊錠、内用液、持続性注射剤と多種類で販売しています。ジェネリック医薬品も多数製造されており、経済的に手に入れやすくなっています。しかし、持続性注射剤の「リスパダール・コンスタ」は高価で、価格は約23,000円から38,000円となっています。

訴訟問題

リスペリドンに関連しては、2012年にジョンソン・エンド・ジョンソンが小児や高齢者への適応外用途のマーケティングを行ったとして係争中であり、多大な罰金が科せられる可能性があります。また、特に男性における女性化乳房の副作用に対する訴訟も多く見受けられます。これらの問題から、リスペリドンの信頼性や使用の在り方について注意が促されています。

以上のように、リスペリドンは統合失調症治療において有用ですが、副作用や使用に際してのリスクについても十分な理解が必要です。医療従事者と充分に相談し、適切な使用法を守ることが大切です。

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