リチャード・オブ・コニスバラ

ケンブリッジ伯リチャード・オブ・コニスバラ：王族の栄光と悲劇

リチャード・オブ・コニスバラ第3代ケンブリッジ伯（1385年頃 - 1415年8月5日）は、イングランド王族の中でも特異な運命を辿った人物です。ヨーク公エドマンド・オブ・ラングリーとカスティーリャ王女イザベラの子として生まれ、ヨークシャーのコニスバラ城で幼少期を過ごしました。しかし、彼の生涯は謎と陰謀に彩られています。

不確かな出生と冷遇

リチャードの生誕に関する記録は曖昧で、1385年7月頃という説が有力ですが、確証はありません。さらには、父から遺産を相続しなかったことなどから、非嫡出子でエクセター公ジョン・ホランドが実父であるとする説も存在します。彼の出自は、後の人生に大きな影を落とすことになります。

母イザベラの遺産相続を認められた後も、リチャードはリチャード2世から年金を受け取るものの、リチャード2世の廃位後はその支給が停止されました。その後、オーウェン・グレンダワーの反乱鎮圧などに従事するも、ランカスター朝の下で長く冷遇され、1406年に騎士に叙任されたのみでした。同年、彼はヘンリー4世の娘フィリッパのデンマークへの嫁入り行列に随行し、そこで後の陰謀事件に繋がるスクループ卿と親交を深めました。

結婚とマーチ伯位相続

1408年、リチャードはマーチ伯ロジャー・モーティマーの娘アン・モーティマーと結婚しました。この婚姻により、彼は子を持たない義弟エドマンド・モーティマーのマーチ伯位相続人に指名され、1411年には嫡男リチャード・プランタジネットが誕生しました。アンの伯母がヘンリー・パーシー（ホットスパー）と結婚していたことも、彼の複雑な人間関係を示しています。

ケンブリッジ伯位と財政難

1414年、ヘンリー5世によって兄エドワードの爵位を継承し、ケンブリッジ伯となりました。しかし、爵位を得ても所領は与えられず、財政難に陥ります。「最も貧乏な伯爵」と呼ばれたリチャードは、ヘンリー5世のフランス遠征に際し、軍資金や兵力の調達に苦慮する羽目となりました。

サウサンプトンの陰謀事件

経済的な窮状と国王への不満が、リチャードを陰謀へと突き動かしました。彼は大蔵卿スクループ卿らと共謀し、ヘンリー5世暗殺計画に加わりました。この計画は、ヘンリー5世を暗殺し、義弟マーチ伯を王位に付けるというもので、ノーサンバランド伯、マーチ伯、グレンダワーらも巻き込む大規模なものでした。しかし、マーチ伯の密告により計画は露見し、リチャードはサウサンプトンで逮捕されました。

1415年8月5日、リチャードはスクループ卿らと共に処刑されました。リチャードは斬首刑、スクループ卿は絞首刑の後、四つ裂きに処せられました。この事件は「サウサンプトンの陰謀事件」として歴史に刻まれています。

死後と子孫

1415年10月、兄エドワードもアジャンクールの戦いで戦死しました。リチャードの遺児リチャードは兄の遺産を相続し、後にヨーク公爵位も継承しました。彼の孫には、後のイングランド王エドワード4世とリチャード3世がおり、リチャード・オブ・コニスバラは、ヨーク朝成立に繋がる重要な人物であると言えるでしょう。

子女

リチャードはアン・モーティマーとの間に2男1女、モード・クリフォードとの間に1女をもうけました。その子孫はイングランドの歴史に大きな影響を与えました。

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