リック・ハズバンド

リチャード・ダグラス・ハズバンド：宇宙への夢と犠牲

リチャード・ダグラス・ハズバンド（Richard Douglas "Rick" Husband、1957年7月12日 - 2003年2月1日）は、アメリカ合衆国の宇宙飛行士でした。彼は、STS-107ミッションの機長として、コロンビア号空中分解事故に巻き込まれ、その生涯を閉じました。彼の勇気と功績は、宇宙名誉勲章として讃えられています。

生い立ちと教育

ハズバンドは、テキサス州アマリロで生まれ育ちました。ベルマー小学校、クロケット中学校を経て、1975年にアマリロ高校を卒業。1980年にはテキサス工科大学で機械工学の学士号を取得し、その後、1990年にカリフォルニア州立大学フレズノ校で機械工学の修士号を取得しました。

妻のエヴェリンは、著書「High Calling: The Courageous Life and Faith of Space Shuttle Columbia Commander Rick Husband」の中で、ハズバンドとのキリスト教信仰に基づく生活や、宇宙飛行士になるという夢をかなえるまでの苦闘について綴っています。ハズバンドには、娘のローラと息子のマシューという2人の子供がいました。

空軍でのキャリア

テキサス工科大学卒業後、ハズバンドはアメリカ空軍に入隊。オクラホマ州のヴァンス空軍基地でパイロット訓練を受けました。1981年10月に訓練を修了すると、フロリダ州のホームステッド空軍基地でF-4の訓練を受け、1982年9月にはジョージア州ムーディ空軍基地のF-4E部隊に配属されました。

1985年9月から11月にかけて、ホームステッド空軍基地のF-4指導者学校に通い、同年12月からはカリフォルニア州のジョージア空軍基地でF-4Eの教官を務めました。1987年12月には、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地でテストパイロット学校に通い、卒業までにF-4およびF-15の全モデルのテスト飛行を行いました。

1992年6月、ハズバンドはイギリス空軍とのテストパイロット交換制度により、イギリスのAircraft and Armament Evaluation Establishmentに配属されました。彼は40種類以上の飛行機に乗り、3800時間以上の飛行経験を積みました。

NASAでのキャリア

ハズバンドは、1994年12月にNASAの宇宙飛行士候補に選出されました。1995年3月からジョンソン宇宙センターで1年間の訓練と評価を受け、その後、スペースシャトルの改良や月、火星への往来の研究に従事しました。晩年は、宇宙飛行士室の安全部門の責任者を務めました。

1999年には、STS-96ミッションで初の宇宙飛行を経験し、235時間13分を宇宙で過ごしました。2003年初めに打ち上げられたSTS-107では、機長に任命されました。

シャトルミッション

STS-96 (1999年5月27日 - 6月6日): ディスカバリーを用いた10日間のミッションで、国際宇宙ステーション（ISS）に初めてドッキングし、翌年初めに訪れる最初の滞在員のために4トンの物資を運搬しました。9日と19時間13分で地球を153周し、400万マイルを飛行しました。
STS-107 (2003年1月16日 - 2月1日): コロンビアを用いた16日間のミッションで、微小重力空間での80以上の実験を行いました。しかし、2月1日早朝、大気圏再突入の際に空中分解事故が発生し、乗組員全員が死亡するという悲劇的な結末を迎えました。

記念

ハズバンドの功績を称え、彼の名を冠した施設や場所が数多く存在します。

ハズバンド・ホール（フロリダ工科大学）
ハズバンド・ヒル（火星のコロンビア・ヒルズ）
小惑星51823リック・ハズバンド
リック・ハズバンド・アマリロ国際空港
リック・ハズバンド通り（テキサス州エルパソ）
ハズバンド・ボーイング工学特別教育課程（カリフォルニア州立大学フレズノ校）

リチャード・ハズバンドの生涯は、宇宙への情熱、勇気、そして犠牲の精神を象徴しています。彼の名は、これからも宇宙開発の歴史に刻まれ続けるでしょう。

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