リッバリ・シャラト

リッバリ・シャラト：新アッシリア帝国の王妃

リッバリ・シャラト（アッカド語：Libbāli-šarrat、「内の町〈＝イシュタル？〉は女王なり」）は、古代メソポタミア地方の新アッシリア帝国の王妃であり、アッシリア王アッシュルバニパル（在位：前669年-前631年）の第一の配偶者として知られています。彼女の生涯は、王妃としての役割と影響力を考察する上で重要な手がかりとなります。

生涯

王太子の妻として

リッバリ・シャラトがアッシュルバニパルと結婚したのは、アッシュルバニパルの父であるエサルハドン（在位：前681年-669年）の王妃エシャラ・ハンマトが亡くなった前672年2月以降と考えられています。同時代の史料には「王妃の王女」と「義理の娘」の記録があり、リッバリ・シャラトとアッシュルバニパルの結婚がエシャラ・ハンマトの生前に行われた可能性を示唆しています。ただし、「義理の娘」がエサルハドンの別の息子の妻である可能性も否定できません。

リッバリ・シャラトの名前は他に類を見ないものであり、その構成要素には「王妃」を意味するシャラトゥムが含まれています。このことから、結婚時またはアッシュルバニパルが後継者に任命された際に名付けられた可能性があります。名前の意味は「内の町は女王なり」であり、「内の町」は女神イシュタルを指す可能性があります。

アッシュルバニパルの姉妹シェルア・エテラトとの間には緊張関係があったかもしれません。シェルア・エテラトはリッバリ・シャラトに宛てて手紙を送り、勉学を怠っていることを叱責し、王女としての自身の優位性を主張しました。ただし、この手紙は宮廷生活への適応を助けようとした試みとも解釈できます。この手紙は、リッバリ・シャラトが当時文字の読み書きができなかった可能性を示唆しており、後の文書から彼女が読み書きを習得し、アッシュルバニパルと学術・文学への興味を共有したことが推測されます。

アッシリアの王妃として

サルゴン2世（前722年-前705年）の改革以来、アッシリア王の王妃は自身に従う軍部隊を保有していました。リッバリ・シャラトの軍には、アッシュルバニパルの兄弟シャマシュ・シュム・ウキンとの内戦で活躍した戦車の運転手、マルドゥク・シャル・ウツルがいました。

リッバリ・シャラトは、アッシュルバニパルの「園遊会」のレリーフで特に有名です。このレリーフでは、彼女は女中たちに囲まれてアッシュルバニパルと食事をしており、高い地位にあることが示されています。彼女は王冠を被り、アッシュルバニパルをもてなす様子が描かれており、これは王以外の人物が宮廷を所有し、王をもてなす唯一の現存する図像です。また、石碑に描かれた彼女の肖像も知られており、そこでは植物を用いた儀式的な仕草をしています。

リッバリ・シャラトはアッシュルバニパルの後継者であるアッシュル・エティル・イラニとシン・シャル・イシュクンの母親である可能性が高いです。アッシュル・エティル・イラニの治世の粘土板には「王母」への言及があり、彼女がアッシュルバニパルの死後も生きていたことを示唆しています。

リッバリ・シャラトは、新アッシリア帝国の王妃として、政治的、宗教的、そして文化的な影響力を持った女性でした。彼女の生涯は、古代メソポタミアの王室における女性の役割を理解する上で貴重な情報源となります。

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