リード (楽器)

リードとは

楽器の音を出すために用いられる薄い板状の部品で、振動することで音を発生させるものを指します。リードは「簧（した）」とも呼ばれ、その語源は「葦（reed）」に由来します。木管楽器では、葦の一種であるダンチクが用いられることが多いですが、フリーリードのように金属やプラスチックが使われることもあります。また、薄片を使わず空気の渦や唇の振動を利用するタイプもリードと呼ばれます。

リードの種類

リードには様々な種類があり、それぞれ音色や使用される楽器が異なります。代表的なリードの種類について解説します。

シングルリード

シングルリードは「単簧（たんこう）」、「一枚リード」とも呼ばれ、一枚の薄い板が振動する形式のリードです。主にクラリネットやサクソフォーンなどの楽器に使用されます。

代表的なメーカーとしては、Vandoren、Schopp、D'Addario WOODWINDS（旧リコ）、マーマデューク・ミュージック、フォレストーンなどが挙げられます。これらのメーカーは、葦やプラスチックなどを用いて様々なシングルリードを製造しています。特に、フランスのヴァール地方で採れる葦は、最上級の素材とされています。

シングルリードの選択は、演奏者の音色や演奏スタイルに大きく影響します。特に、リードの硬さは音の明瞭さや音量に影響するため、演奏者自身が最適な硬さを選ぶことが重要です。良いリードは使い込むほど音が軽くなり、悪いリードは最初のうちは良い音がしてもすぐに劣化する傾向があります。

ダブルリード

ダブルリードは「複簧（ふくこう）」、「二枚リード」とも呼ばれ、二枚の薄片を重ねて使用するリードです。ダブルリードはシングルリードとは大きく異なる独特の音色を持ち、ファゴット、オーボエ、バグパイプ、コーラングレ、アウロス、一部のオルガンなどに使用されます。また、日本の伝統楽器である篳篥（ひちりき）にも用いられています。

オーボエは鼻にかかったような独特の音色を持ち、ファゴットも独自の音色を持っています。ダブルリードについてさらに詳しく知りたい場合は、ダブルリードに関する専門記事を参照してください。

エアーリード

エアーリードは「ノンリード」、「無簧（むこう）」とも呼ばれます。薄片を使用せず、空気を絞りビーム状にしてエッジに当てることで振動させ、音を出す方式のリードです。リコーダーやオカリナのように、歌口からエッジ部分までが一体成形されているもの（ウィンドウェイ、フィップルを持つもの）と、フルート、尺八、篠笛、龍笛などのように、演奏者の口の形（アンブシュア）によってビームを作るものがあります。

後者のタイプは、演奏には熟練を要するものの、音量、音色、音高、音域の幅が広く、コンサートホールや劇場、屋外での演奏に向いています。一方、前者のタイプは初心者でも比較的容易に音が出せるため、手軽に始められる楽器として、また合奏を楽しむ楽器として、その魅力が見直されつつあります。

エアーリードは、他のリード楽器と比較して構造が単純で、部品交換や調整が容易であるという利点もあります。

リップリード

リップリードは「唇簧（しんこう）」とも呼ばれ、薄片を使用せずに上下の唇を振動させ、その振動によって発生する空気の振動を音源とするリードです。リップリードを音源とする管楽器は金管楽器と呼ばれます。

フリーリード

フリーリードは「自由簧（じゆうこう）」、「自由リード」とも呼ばれ、笙、ハーモニカ、鍵盤ハーモニカ、アコーディオン、コンサーティーナ、リードオルガンなどに使われます。フリーリードは枠の中で薄片が自由に振動する構造を持ち、共鳴管ではなくリードの長さや厚さを調整して調律を行います。

音程と音色はリードの物理的な性質によって決まるため、旋律を演奏するには多数のリード（またはリードが組み込まれた管）を複数用意する必要があります。演奏者は、息を吹き込む穴の位置を変えたり（ハーモニカ）、鍵盤を押したり（鍵盤ハーモニカ、オルガン）、指孔をふさいだり（笙）することで、特定のリード（管）のみに空気を送り、音を奏でます。

主なリードの製造会社

マーマデューク・ミュージック（日本）
フォレストーン
バンドーレン
リコ
シルバースタイン
ウンチ(Untch)
ManDoubleReedProducts（日本）

その他の情報

注釈

リードの選択は、楽器の演奏において非常に重要な要素です。
リードは、適切な手入れを行うことで長く使用できます。

関連項目

管楽器
蛇腹楽器
ダブルリード
フィップル
トクサ （茎を竹製リードの研磨調整に用いる）
* リードバルブ - リードを用いた弁

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