ルイ・マルクーシ

ルイ・マルクーシ（Louis Marcoussis）は、1878年または1883年11月14日にポーランド中部のウッチで生まれ、1941年10月22日にフランスのCussetで亡くなった画家、版画家、イラストレーターです。本名をルドヴィク・カジミェシュ・ヴワディスワフ・マルクス（Ludwik Kazimierz Wladyslaw Markus）またはルドヴィク・カシミール・ラディスラス・マルクス（Ludwig Casimir Ladislas Markus）といい、キュビスムの重要な画家の一人として知られています。

生涯

マルクーシは、ウッチで生まれ、ワルシャワで法律を学んだ後、美術の道に進みました。クラクフ美術アカデミーでヤン・スタニスワフスキやユゼフ・メホフェルに師事し、美術の基礎を学びました。1903年にパリに移住し、短期間アカデミー・ジュリアンでジュール・ジョゼフ・ルフェーブルに師事しました。

1905年、サロン・ドートンヌに初出展を果たし、その後20年以上にわたり、アンデパンダン展やサロン・デ・チュイルリーといった主要な展覧会に作品を出品しました。ポーランド時代には風刺雑誌の挿絵を手がけていましたが、パリでも生活のためにイラストレーションの仕事をしていました。

パリでは、モンマルトルやモンパルナスのカフェに出入りし、ギヨーム・アポリネール、ジョルジュ・ブラック、エドガー・ドガ、パブロ・ピカソといった芸術家たちと親交を深めました。姓を「markus」から、パリ近郊の村の名である「Marcoussis」に変えたのは、アポリネールの助言によるものとされています。この改名によって、彼はよりフランス社会に溶け込むことができたと考えられています。

マルクーシの初期作品は印象派の影響を受けていましたが、1910年代に入ると、ピカソ、ジョルジュ・ブラック、フアン・グリスなどのキュビスムの画家たちとともに、独自のキュビスム様式を確立しました。彼の作品は、ヨーロッパやアメリカの展覧会にも出品され、1925年にはパリで初の個展を開催しました。

1913年に、同じくクラクフ出身の画家アリス・ハリッカ（Alice Halicka）と結婚し、1922年には娘が誕生しました。第一次世界大戦中にはフランス軍のポーランド人部隊に参加し、その後フランス市民権を取得しました。1930年代には版画制作に熱心に取り組みました。

1940年にドイツ軍がパリを占領すると、マルクーシはヴィシー近くのCussetに移り、1941年に同地で亡くなりました。

作品の特徴

マルクーシの作品は、初期の印象派の影響から、キュビスムへと変遷していきました。彼のキュビスムは、ジョルジュ・ブラックやピカソのそれとは異なり、より装飾的で色彩豊かな特徴を持っています。また、版画制作にも力を入れており、その技術と表現力は高く評価されています。

関連事項

マルクーシは、ピュトー・グループとも関連があります。ピュトー・グループは、キュビスムの理論を提唱し、その発展に大きく貢献した芸術家集団です。

参考文献

* Irena Kossowska, Louis Marcoussis (Ludwik Kazimierz Markus), Instytut Sztuki Polskiej Akademii Nauk July 2004 (pl)

もう一度検索