ピュトー・グループ

ピュトー・グループ（ピュトー派）は、20世紀初頭の美術界において、キュビスムの探求を志した画家たちが形成したグループの名称です。活動期間は、おおむね1910年から第一次世界大戦が勃発する1914年までとされています。

グループの誕生は、ピカソとジョルジュ・ブラックが活動拠点とした「洗濯船」に対抗する形で、パリ郊外のピュトーに画家たちが集まったことに由来します。当時、ピュトーには、レイモン・デュシャン＝ヴィヨン、フランティセック・クプカ、ジャック・ヴィヨンといった画家のアトリエが集中していました。

ピュトー・グループに所属した主要な画家として、ホワン・グリス、フェルナン・レジェ、アルベール・グレーズ、ジャン・メッツァンジェ、ルイ・マルクーシ、アンドレ・ロート、ジャック・ヴィヨン、ロジェ・ド・ラ・フレネー、フランティセック・クプカ、フランシス・ピカビア、マルセル・デュシャン、アレクサンダー・アーキペンコ、レイモン・デュシャン＝ヴィヨンなどが挙げられます。

彼らは自らを「セクション・ドール（黄金分割）」とも称し、1912年には同名の展覧会を開催しました。また、同名の雑誌も発行しています（ただし、発行は1号のみでした）。

ピュトー・グループの思想的な基盤は、分析的キュビスムが色彩を軽視したことへの批判にありました。彼らは、絵画における色彩の豊かさを復活させることを目指しました。この考え方は、後の総合的キュビスムにも影響を与えたとされています。しかし、グループ内での考え方が統一されておらず、キュビスムの理論が分散してしまったという指摘もあります。また、理論よりも見た目を重視する傾向があったため、キュビスムが装飾化・通俗化されたという批判や、一部のメンバーがオルフィスムを経て抽象絵画へ移行したことなども批判の対象となっています。特にピュリスムからは、これらの点について批判がなされました。

ピュトー・グループの活動における重要な成果の一つとして、メッツァンジェとグレーズが共著した『キュビスムについて』（1912年）が挙げられます。この著作は、キュビスムの理論を体系的にまとめたものとして、美術史において重要な位置を占めています。

1912年には「セクション・ドール展」が開催され、多くの作品が展示されました。展示された作品には、以下のようなものがあります。

アルベール・グレーズ《収穫者たち》
ジャン・メッツァンジェ《自画像》
* フェルナン・レジェ《結婚》

ピュトー・グループの活動は、キュビスムの発展に多大な影響を与えた一方で、その多様性ゆえに、キュビスムの統一性を失わせたという批判もあります。しかし、彼らの活動は、20世紀美術の多様性を示す上で、重要な位置を占めていると言えるでしょう。

関連事項：西洋美術史、20世紀美術、マルセル・デュシャン、美術

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