ルクセンブルク＝リニー家

ルクセンブルク＝リニー家：フランス貴族の系譜

ルクセンブルク＝リニー家（リュクサンブール＝リニー家）は、フランスの貴族の家系であり、14世紀から15世紀にかけて神聖ローマ皇帝を輩出したリンブルク＝ルクセンブルク家の傍系にあたります。本家が1437年に断絶した後も、17世紀までその血統は続きました。

リニー家の起源と発展

リニー家の始まりは、ルクセンブルク伯ハインリヒ6世の弟であるワレラン1世が、母方から相続したリニーに本拠を置いたことに遡ります。ハインリヒ6世伯の息子ハインリヒ7世が神聖ローマ皇帝となり、一族が中欧諸国に拠点を移す一方で、リニー家の当主たちは北フランスに留まり、近隣領主の女子相続人との婚姻を通じて所領を拡大していきました。

ワレラン1世の曾孫ギーは、結婚を通じて1360年にサン＝ポル伯領を相続し、1364年にはフランス王からリニー伯の称号を授けられました。ギーの息子、ワレラン3世は1412年にフランス大元帥に任命され、弟のジャンは妻方からブリエンヌ伯領とコンヴェルサーノ伯領を相続しました。

百年戦争と没落

ブリエンヌ伯ジャンの息子たちは、百年戦争においてブルゴーニュ公国およびイングランドと密接な関係を持ちました。リニー伯ジャン2世は1425年にイングランド占領地域に入ったギーズ伯領を与えられました。しかし、ブリエンヌ伯ジャンの孫であるサン＝ポル伯ルイは、フランス王ルイ11世を脅かしたとして大逆罪で処刑され、所領の多くを没収されました。

1475年のサン＝ポル大元帥の没落以降、リニー家は勢威を回復することができず、所領は分割相続や女子相続に伴う他家への譲渡により分散していきました。

ピネー＝リュクサンブール公爵位

サン＝ポル大元帥の玄孫フランソワは、1576年にピネー＝リュクサンブール公爵位を与えられ、1581年にはフランス王国同輩公の地位を認められました。フランソワの息子アンリは、ルクセンブルク家の後裔であることを強調するため、ピネー公爵位をリュクサンブール公爵と称するようになりました。アンリには男子がいなかったため、彼の死と共にルクセンブルク＝リニー家の正嫡は絶えましたが、ピネー＝リュクサンブール公爵位は、アンリの外孫と結婚したフランソワ・アンリ・ド・モンモランシーに引き継がれました。モンモランシーはリュクサンブール元帥として知られています。

その他の公爵位

フランス王はリニー家の者にピネー公爵位だけでなく、サン＝ポル大元帥の弟の曾孫にあたるセバスティアンに、1566年に同輩公のパンティエーヴル公爵位を授けました。しかし、セバスティアンも男子の無いまま死去し、公爵位は娘婿のメルクール公フィリップ・エマニュエル・ド・ロレーヌに引き継がれました。

リュクサンブール宮殿

初代ピネー公フランソワは、1546年にパリ南郊に別荘を建設しました。これが現在の小リュクサンブール宮殿（プチ・リュクサンブール）です。フランソワは1612年、この別荘と付属の地所をマリー・ド・メディシスに売却し、マリーは1615年から1620年にかけて、さらに大規模な宮殿（リュクサンブール宮殿）を建設しました。大宮殿は元老院の議事堂として、小宮殿は元老院議長の公邸として使用されています。

リニー家出身の著名人

ピエール・ド・リュクサンブール：カトリック教会のメス司教、枢機卿、福者。
ジャケット・ド・リュクサンブール：ベッドフォード公ジョンの2番目の妻、イングランド王エドワード4世の王妃エリザベス・ウッドヴィルの母。
* マリー・ド・リュクサンブール＝サン＝ポル：ヴァンドーム伯フランソワの妻。婚家にサン＝ポル、ソワソン、マルルの3伯領をもたらした。

ルクセンブルク＝リニー家は、その傍系がフランス国内で繁栄し、政治、軍事、宗教など多方面にわたって影響を与えた一族でした。

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