ルッド

ルッド王：古代ブリテンの伝説的統治者

ルッド（ラテン語名：Lud、英語名：Lud）は、ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』などの書物に登場する、ローマ帝国によるブリタンニア属州化以前の時代の王とされています。ヘリ王の息子であり、父の跡を継いで王位に就きました。

ロンドン建設とルッド

ルッドの治世で特筆すべきは、彼が愛したトリノヴァントゥム（現在のロンドン）の都市建設と再要塞化です。ジェフリーは、「ロンドン（London）」の語源を「ルッドの要塞」を意味する「カールルッド（Caer Lud）」に由来すると説明しています。また、ルッドの死後、彼の遺体は「ルッドの門」（ラドゲイト）に埋葬されたと伝えられています。

ルッドにはアンドロゲウスとテヌアンティウスという2人の息子がいましたが、彼らはまだ若かったため、ルッドの兄弟であるカッシベラウヌスが王位を継承しました。

ウェールズの伝承とルッド

ジェフリーの『ブリタニア列王史』のウェールズ語版では、ルッドは「ベリの息子スィッズ（Lludd fab Beli）」と呼ばれています。また、『マビノギオン』に収録されている『スィッズとスェヴェリス（Cyfranc Lludd a Llefelys）』という物語では、スィッズがプリデイン（グレートブリテン島）の王として登場し、兄弟のスェヴェリス（ジェフリーの書には登場しない）と共に、ブリテンを脅かす3つの超自然的な脅威を取り除く活躍が描かれています。

ルッドと地名

イングランド各地には、Lud-、Ludden-、Luddes-、Ludger-などに由来する地名が多数存在します。例えば、ダラム、Ludgvan、サマセットなどが挙げられます。また、アイルランドのリメリックにもLuddenという地名があります。

ラドゲイトとルッド王

ルッドの名前は、シティ・オブ・ロンドンの主要な門であるラドゲイトの語源の一つと考えられています。かつてラドゲイトにはルッド王と2人の息子の彫像が立っていましたが、現在はフリート・ストリートのセント・ダンスタン・イン・ザ・ウェスト教会に安置されています。また、ラドゲイト・サーカスには「King Lud」という名前のパブがありましたが、現在は「Leon」という名前に変わっています。しかし、パブの屋根の上やドアの上には、ルッド王のメダイヨンが残されています。

ルッド王は、古代ブリテンの伝説的な王であり、ロンドンの都市建設や地名など、現代にもその名残をとどめています。

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