ルドルフ・ヨハネス・フォン・エスターライヒ

ルドルフ・ヨハネス・ヨーゼフ・ライナー・フォン・エスターライヒは、1788年に神聖ローマ皇帝レオポルト2世の末子として誕生しました。彼は一般的にルドルフ大公として知られ、1819年にはオロモウツ大司教と枢機卿に選出されました。しかし、彼の名が広く知られているのは、ベートーヴェンのパトロンであり、弟子であったという側面でしょう。

生涯

ルドルフ大公とベートーヴェンの出会いは、1803年または1804年に遡ります。ルドルフ大公はベートーヴェンにピアノと作曲を師事し、二人はすぐに意気投合しました。大公はベートーヴェンの才能を高く評価し、経済的な支援を含めた庇護者として、その活動を支え続けました。この深い交友関係は1824年まで続きます。

ベートーヴェンを経済的に支援した貴族は他にもいましたが、最後まで支援を絶やさなかったのはルドルフ大公のみでした。この厚い信頼関係は、ベートーヴェンがルドルフ大公に多くの作品を献呈したことにも表れています。献呈された作品の中には、有名な《大公トリオ》や《告別ソナタ》、そして《ミサ・ソレムニス》など、合計14曲にも上ります。ルドルフ大公もまた、自作をベートーヴェンに献呈しており、二人の間には芸術的な交流があったことが伺えます。ベートーヴェンがルドルフ大公に宛てた私信は、現在ウィーン楽友協会に保管されており、二人の関係を今日に伝えています。

ルドルフ大公は生来虚弱であり、激務に耐えることができませんでした。1831年に早世し、ウィーンの皇室地下霊廟に埋葬されました。彼の心臓は、オロモウツ大聖堂に眠っています。

音楽作品

ルドルフ大公は、音楽家としても活動しました。彼の作品は1980年代から再評価の動きが見られ、クラリネット奏者のディーター・クレッカーやヴァイオリニストのヨゼフ・スークらによって録音・演奏されるようになりました。ルドルフ大公の作品は、控えめで保守的な傾向が強いと評されることもありますが、晩年の作品《七重奏曲ホ短調》は、彼の音楽的な野心を示すものとして注目されています。この作品は、抒情的な性格を持ち、ロッシーニ、ウェーバー、シューベルトなど、初期ロマン派音楽との繋がりを感じさせます。

その他の主要作品

ヴァイオリンとピアノのための《プロイセン王子ルイ・フェルディナントの主題による変奏曲 ヘ長調》
クラリネットとピアノのための《ロッシーニの主題による変奏曲》
バセットホルンとピアノのための《民謡「わが馬よ Ja mam Konè」の主題による変奏曲》
ヴァイオリン・ソナタ ヘ短調
クラリネット・ソナタ イ長調 作品2
クラリネットとヴィオラ、ファゴット、ギターのための《セレナーデ》変ホ長調
クラリネットとチェロ、ピアノのための三重奏曲 変ホ長調
ディアベリのワルツの主題によるフーガ ハ長調（ディアベリのワルツによる変奏曲集の40曲目）

ルドルフ大公は、音楽史において、ベートーヴェンの最大の理解者であり、支援者として重要な役割を果たしました。また、彼自身の音楽作品も再評価が進んでおり、今後更なる注目を集めることが期待されます。

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