ルブ・エル・ヒズブ

ルブ・エル・ヒズブとは

ルブ・エル・ヒズブ（Rub el Hizb）は、八つの頂点を持つ星型の図形で、二つの正方形が重なったデザインから成る宗教的シンボルです。このシンボルは、特にイスラム教の伝統において重要な役割を果たしており、多くのイスラム圏の国章や旗に見ることができます。

言葉の意味

アラビア語で「ルブ」は「四分の一」を、「ヒズブ」は「まとまり」や「集まり」を指します。クルアーン、つまりイスラムの聖典は114の章に分かれていますが、その各章の長さは様々です。そのため、クルアーン全体を60の部分に分割して、各部分の読みやすさを高めるために用いられるのが「ヒズブ」です。各ヒズブはさらに四等分されており、その四分の一を「ルブ」と呼び、星形のマーク（۞）で示されています。このことから、ルブ・エル・ヒズブが形成されます。

書道における利用

イスラムの書道、特にカリグラフィーにおいて、ルブ・エル・ヒズブは章の終わりを示す重要なマークとして頻繁に利用されます。このシンボルは、書き手にとって読みやすさや構成の整然さを提供する役割を担っています。

Unicodeでは、ルブ・エル・ヒズブは特定の文字コードU+06DEで表現されています。これはデジタル文書や電子データにおいても広く認識され、使用されています。

ルブ・エル・ヒズブの使用例

このシンボルは、歴史的に多くの著名な旗や徽章に使用されています。例えば、モロッコに存在したマリーン朝およびサアド朝の旗、トルクメニスタンとウズベキスタンの国章、カザフスタンのアザト党の旗や税関の旗など、数多くの国にその姿を見ることができます。また、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時の特殊部隊「ボスナ」の徽章や、カイロ地下鉄のロゴなどにも採用されました。

アル＝クッズの星

特に注目すべきは「アル＝クッズの星」というバリエーションで、エルサレムを象徴するデザインとして用いられています。この星は、ウマイヤ朝が築いた岩のドームの八角形の形に基づいてデザインされています。2009年にはエルサレムがアラブ文化の首都に選ばれた際、その公式ロゴにこのシンボルが使用されました。また、アル＝クッズ銀行のロゴにも見られます。

関連項目

ルブ・エル・ヒズブに関連する他の象徴やシンボルも存在します。インドに位置する「ラクシュミの星」は同様の八芒星を持つマークの一例です。また、クルアーン内の「サジダ節」を示すシンボル（۩）や、各スーラを分けられるアーヤ（節）を示す記号（۝）も、それぞれ特定の役割を果たしています。

最後に、ルブ・エル・ヒズブは単なるデザインではなく、イスラム社会における歴史や文化、そして信仰の重要な要素となっています。

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