ルリツグミ

ルリツグミ（学名：Sialia sialis）は、スズメ目に属する鳥類で、ツグミ科の仲間です。その美しい瑠璃色の羽からこの名がつけられました。アメリカ合衆国では、ニューヨーク州とミズーリ州のシンボルである「州の鳥」として指定されており、人々に愛されています。食性は主に昆虫類で、飛びながらまたは地上で獲物を捕らえます。

特徴（形態）

ルリツグミはツグミ科の鳥の中では中くらいの大きさで、成熟した個体は腹部が白いのが識別点の一つです。特に雄の成鳥は、頭部から背中にかけてが息をのむほど鮮やかな青色をしており、喉から胸にかけては赤茶色に彩られています。一方、雌の成鳥は、翼と尾羽がやや灰色がかった青色で、喉と胸は茶色っぽい色合い、頭部と背中は灰色です。若鳥は全体的に灰茶色で赤みが少なく、胸にはまだら模様が見られますが、翼と尾羽にはすでに青みが現れ始めています。ルリツグミのさえずりは、やわらかな「ジーウ」や「チール・ウィ」と聞こえるほか、時に歌うような複雑な節回しで「チティ・ウィーウ・ウェウィドゥー」と鳴くこともあります。

生息地と分布

この鳥は新北区に広く分布しており、開けた森林地帯や、畑地、果樹園など、木が点在する環境を好みます。北アメリカ大陸においては、ロッキー山脈より東側の地域、具体的にはカナダ南部からメキシコ湾沿岸にかけて、またアリゾナ州南東部から中央アメリカのニカラグアに至るまで確認されています。分布域の北部で繁殖する個体群は、冬になると暖かい南方へ移動する夏鳥ですが、南部に生息する個体群は同じ場所で一年中過ごす留鳥です。興味深いことに、大西洋に浮かぶバミューダ諸島にも独自の個体群が存在しており、これは地理的に隔離された亜種である可能性が指摘されています。

保全をめぐる歴史

かつて、北アメリカ本土のルリツグミの個体数は深刻な危機に瀕しました。その主な原因は複数あります。まず、農業の近代化に伴う生息環境の悪化が挙げられます。特に、彼らが巣として利用する木の洞や、それに代わる古い角材の柵が減少したこと、さらに枯れ木が伐採されたことで、営巣場所が失われました。また、農地で広く使われるようになった殺虫剤が、彼らの食料である昆虫を減少させ、悪影響を及ぼしました。加えて、ヨーロッパから移入されたイエスズメやホシムクドリといった外来種が、ルリツグミの巣を襲って雛を捕食したり、巣箱を巡って競合したりすることも、個体数減少の大きな要因となりました。これらの要因が重なり、1900年代半ばまでには、ルリツグミの数は危機的なレベルにまで落ち込みました。

しかし、この状況を改善しようとする熱心な試みがなされました。特に、多くの愛鳥家や自然愛好家が立ち上げたネットワークが大きな役割を果たしました。彼らはルリツグミが利用しやすいように設計された専用の巣箱を各地に設置する活動を進めました。さらに、ルリツグミの雛を捕食し、また成鳥の競争相手でもあるイエスズメなどが巣箱を利用しないよう監視し、必要に応じて排除するといった地道な努力を続けました。こうした市民レベルの積極的な保護活動が実を結び、ルリツグミは絶滅の危機から脱し、個体数は回復傾向を示しました。また、ルリツグミが畑や果樹園、庭木のある住宅地といった、人間が活動する場所に比較的容易に適応し、共存できる性質を持っていたことも、回復を後押しした要因と考えられています。その愛らしい姿は多くの人々を魅了し、愛鳥家の間では非常に人気が高い鳥です。

一方で、バミューダ諸島のルリツグミ個体群も、独自の厳しい状況に直面しました。島のシンボル的な樹木であったバミューダネズが病気などにより大量に伐採されたことで生息環境が大きく破壊されたこと、そして移入されたスズメ、ホシムクドリ、さらにキバラオオタイランチョウといった外来種による雛の捕食により、1940年代には絶滅の危機に瀕しました。さらに追い打ちをかけるように、1987年に発生した強力なハリケーン・エミリーが島の森林に壊滅的な被害をもたらし、ルリツグミを含む森林性の鳥類はさらなる打撃を受けました。バミューダにおけるルリツグミの保全は、現在も重要な課題として取り組まれています。

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