ルワンダ虐殺における初期の出来事

ルワンダ虐殺初期の出来事：大統領暗殺から虐殺勃発まで

1994年4月6日、ルワンダ大統領ジュベナール・ハビャリマナとブルンジ大統領シプリアン・ンタリャミラが搭乗した航空機が撃墜され、両大統領が死亡するという事件が発生しました。この事件は、ルワンダ虐殺の引き金となり、およそ80万人のツチ族と穏健派のフツ族が殺害されるという悲劇につながりました。この記事では、大統領暗殺直後の数日間に起きた出来事を詳細に解説し、虐殺へと至る道筋を明らかにします。

権力掌握と粛清

大統領暗殺後、強硬派アカズが牛耳る暫定政府が実権を掌握しました。同時に、反対勢力となるフツ系の政治家たちが次々と粛清されました。アガート・ウィリンジイマナ首相もその一人で、国営ラジオを通じて国民に沈静化を訴えようとしましたが、大統領警護隊によって放送を阻止され、暗殺されました。アルーシャ協定を支持していた穏健派フツの有力者たちも、次々と命を奪われました。

虐殺計画の発動

大統領暗殺を機に、ルワンダ全土で虐殺計画が発動されました。過激派組織インテラハムウェは、ツチ族に対する憎悪を煽り、虐殺を扇動しました。独立系ラジオ局RTLMは、大統領機の撃墜はベルギー平和維持部隊とRPFによるものだと虚偽の情報を流し、民衆にツチ族の殺害を呼びかけました。

国連の対応

当時、ルワンダには国際連合ルワンダ支援団（UNAMIR）が駐留していましたが、虐殺を阻止する権限を与えられていませんでした。UNAMIRの兵士たちは、自衛以外の発砲を禁じられており、虐殺から逃れてきた人々を保護することもできませんでした。さらに、大統領警護隊はUNAMIRのベルギー人兵士10名を殺害し、国際社会に衝撃を与えました。この事件により、ベルギーはルワンダからの撤退を決定し、国際社会の介入は一時的に躊躇されました。

外国人退避と議論

フランスとベルギーは、それぞれ軍を派遣して外国人居住者の国外退去作戦を実行しました。しかし、ツチ族の緊急避難はほとんど行われず、西側諸国の対応は批判を浴びました。近隣には欧米の兵力が存在し、UNAMIRを支援できたはずだという指摘や、ツチ族の避難を優先すべきだったという意見が出ています。

暫定政権の構成

ウィリンジイマナ首相暗殺後、ジャン・カンバンダを首相とする新政権が樹立されました。しかし、この政権はジェノサイドを主導したとして、国際刑事裁判所（ICTR）によって有罪判決を受けています。バゴソラ大佐は、軍事政権を断念しつつも、フツ・パワーを支持する有力者たちで構成された文民政権を「用意」しました。

内戦の再発

ハビャリマナ大統領暗殺後、ルワンダ政府軍はRPFを暗殺犯と断定し、内戦が再開されました。RPFはキガリに進軍し、政府軍との戦闘を開始しました。UNAMIRは、都市全体に兵力を分散させており、虐殺を阻止する力はありませんでした。RPFは、虐殺を止めるために政府軍を撃退するしかありませんでしたが、罪のない市民を殺害したという批判も存在します。

ルワンダ虐殺は、国際社会の無関心と不作為によって、多くの人命が失われた悲劇です。この歴史を忘れることなく、教訓を未来に活かしていく必要があります。

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