ル・ファンタスク級大型駆逐艦

ル・ファンタスク級大型駆逐艦

ル・ファンタスク級大型駆逐艦は、フランス海軍が建造した6隻の駆逐艦からなる艦級です。ヴォークラン級の後継として1930年度計画で建造され、ジャグアー級を準同型艦としています。ボイラーを1基削減し、煙突を2本に集約することで、前級とは異なるシルエットとなりました。主砲には長砲身型の13.8cm速射砲を採用するなど、火力向上にも注力しています。

艦形

ル・ファンタスク級は、艦首がやや高く持ち上がった短船首楼型船体を持ちます。艦首甲板には、13.9cm速射砲を単装砲架で2基、背負い式に配置。艦橋は箱型で、簡素な前部マストを備えています。中央部には2本の煙突が立ち並び、その周囲には艦載艇が配置され、クレーン2基で運用されました。三連装55cm魚雷発射管を3基搭載し、3.7cm連装機関砲も装備していました。後部マストは軽量化のため省略され、無線のアンテナ線を前部マストから後部まで張り渡す構造となっていました。後部甲板には、主砲をさらに3基搭載。

兵装

主砲: 新設計の13.9cm（45口径）速射砲を単装砲架で5基搭載。40.6kgの砲弾を20,000mの射程まで到達させられました。俯仰能力は仰角30度、俯角10度、旋回角度は左右150度、発射速度は毎分7発でした。

対空火器: 3.7cm連装機関砲2基、13.2mm連装機関砲2基を搭載。3.7cm機関砲は2.8kgの砲弾を7,150mの射程で高度4,200mまで到達可能。13.2mm機関砲は51gの砲弾を7,200mの射程で高度5,500mまで到達可能でした。俯仰能力や旋回角度は艦橋などにより制限されていました。

魚雷: 55cm三連装魚雷発射管3基。

就役後の武装変換

就役後に一部艦艇の武装が変更されました。「ランドンターブル」は3.7cm機関砲を増設。「ル・トリオンファン」は13.9cm砲を1基撤去し、イギリス製の10.2cm高角砲やその他の近接防御火器を搭載しました。1943～1944年には、「ル・ファンタスク」など4隻が近代化改装を受け、ボフォース4cm機関砲やエリコン2cm機銃を追加装備、レーダーも搭載されました。

機関

重油専焼水管缶4基とギヤード・タービン2基による2軸推進で、74,000馬力を発揮し、37ノットの速力を達成しました。しかし、ボイラーやタービンの種類は艦ごとに異なっていました。「ル・ファンタスク」は公試運転で42.72ノットを記録し、「ル・テリブル」は45.02ノットを記録した艦もあります。

艦歴

第二次世界大戦では、「ローダシュー」がダカール沖海戦で大破し、後にドイツ海軍によって再就役が試みられましたが、連合軍の爆撃で再び大破。「ランドンターブル」はトゥーロンで自沈しました。残る4隻は自由フランス海軍に所属し、大戦後もフランス海軍で運用され、1964年に「ル・マラン」が除籍されるまで活躍しました。

同型艦

ル・ファンタスク (Le Fantasque)
ル・トリオンファン (Le Triomphant)
ル・テリブル (Le Terrible)
ル・マラン (Le Malin)
ローダシュー (L'Audacieux)
ランドンターブル (L'Indomptable)

参考資料

「世界の艦船 増刊第17集　第2次大戦のフランス軍艦」（海人社）
「世界の艦船増刊第50集　フランス巡洋艦史」（海人社）
* 「Conway All The World's Fightingships 1922-1946」（Conway）

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