ループ (シカゴ交通局)

ループ（The Loop）

シカゴの中心部、賑やかな市街地に位置する「ループ」は、イリノイ州シカゴが誇る高架鉄道システム、通称「シカゴ・L」において、その運行ネットワークの中枢を担う重要な環状線です。歴史的にはユニオン・ループ（Union Loop）とも称されました。全長は約2.88キロメートル（1.79マイル）に及びます。

その名称は、線路がレイク通り（北側）、ウォバッシュ通り（東側）、ヴァン・バーレン通り（南側）、そしてウェルズ通り（西側）という四つの通りに沿って長方形の環状を形成していることに由来します。実際に、この高架環状線の内側にあたる地区全体が、シカゴのダウンタウンを指す「ループ」という地名の起源となっています。

「ループ」という言葉が高架鉄道以前にも使われていたかについては諸説あります。一説には、この地域を終点としていた複数のケーブルカーが使用していたループ線やターンテーブルに由来するというものです。特に1882年に建設されたケーブルカーの2路線は、マディソン、ウォバッシュ、ステイト、レイクの各通りに囲まれた区域で共通のループ線を使用していたとされます。しかし、交通史研究家であるブルース・モファット氏は、チャールズ・ヤーキスが高架線を建設した1895年から1897年頃まで、「ループ」という言葉が特定の固有名詞として定着していなかった、との見解を示しています。

運行と構造

ループ環状線上には、現在8つの駅が設けられています。北側にはクラーク/レイク駅とステイト/レイク駅、東側にはランドルフ/ウォバッシュ駅とアダムス/ウォバッシュ駅、南側にはライブラリー駅とラサール/ヴァン・バーレン駅、そして西側にはクインシー駅とワシントン/ウェルズ駅があります。これらの駅は、2011年には年間で合計2,000万人を超える乗客がシカゴ・Lを利用する玄関口となりました。

シカゴ・Lを構成する全8路線のうち、過半数にあたる5路線がループの線路を活用して運行されています。残りの3路線のうち、ブルーラインとレッドラインは地下を走行しており、ループの下を通り抜け、ループの駅とは地下で接続する形でサービスを提供しています。CTA（シカゴ交通局）の路線で唯一、イエローラインはループに直接乗り入れることも、その駅に接続することもしません。

ループを周回する路線にはいくつかのパターンがあります。パープルラインの急行（平日ラッシュ時のみ運行）とブラウンラインは、環状線の北西角から乗り入れます。パープルライン急行は時計回りに一周し、ブラウンラインは反時計回りに一周します。オレンジラインは南東角から乗り入れ、時計回りに一周。ピンクラインは北西角のやや西側から乗り入れ、これも時計回りに一周します。これら4路線は、ループを一周した後、ループへ進入した時とは逆の順番で各駅に停車しながら、それぞれの始発駅へと戻ります。グリーンラインは、北側のレイク・ストリート支線と南側のサウス・サイド高架線をつなぐ役割を担っており、上下線ともにループの北側と東側のみを利用しますが、環状線を一周することはありません。

ループへの列車の出入りは、二つの重要な信号扱所によって管理されています。タワー12は南東の角に位置し、タワー18は北西の角にあるダイヤモンドクロッシングを見下ろす位置にあります。このタワー18は、かつて世界で最も忙しい鉄道の連動装置の一つとして知られていました。現在のタワー18は1969年9月7日に運用を開始した2代目であり、初代は19世紀に建設され、現在のタワー18の斜め向かいに存在していました。

歴史

現在のユニオン・ループが建設される以前、シカゴ市街の繁華街には、サウス・サイド高架鉄道、レイク・ストリート高架鉄道、メトロポリタン・ウェスト・サイド高架鉄道という三つの主要な高架鉄道会社が、それぞれ独自の終着駅を市の中心部周辺に設けていました。これらの分散した終着駅を接続し、より効率的なネットワークを構築することを主導したのが、チャールズ・タイソン・ヤーキスでした。ユニオン・ループは一括して建設されたのではなく、区間ごとに順次開業しました。北側のレイク・ストリート沿いの区間は1895年にレイク・ストリート高架鉄道によって延伸開業し、東側のウォバッシュ通り沿いと西側のウェルズ通り沿いの区間はユニオン高架鉄道によってそれぞれ1896年と1897年に開業しました。最後に、南側のヴァン・バーレン通り沿いの区間が、ユニオン・コンソリデート高架鉄道によって1897年に開業し、環状線が完成しました。

開業当初、ループには12の駅があり、環状線を構成する四つの直線区間のそれぞれに3駅が配置されていました。しかし、ループの西側区間、特にウェルズ通りを越える部分の建設に伴い、フィフス/レイク駅の南行ホームが撤去されることになりました。さらにその後、ノース・ウェスタン高架鉄道がループに乗り入れることになったため、残りのホームも撤去され、結果としてループ上の駅数は11駅となりました。北側には2駅、その他の3辺にはそれぞれ3駅が残る形となりました。

ループの建設とその運営は、当時のシカゴに政治的なスキャンダルも巻き起こしました。ヤーキスが所有する会社は、ループに乗り入れるすべての高架鉄道会社から手数料を徴収し、これが通勤客の運賃上昇を招きました。ヤーキスは州議会を買収することで、自らの会社に5年間の運営権を与える法案を成立させましたが、この行為は市民の激しい怒りを買い、結果的に彼はシカゴから追われることとなりました。この出来事は、一時的にシカゴに「プログレッシブ・リフォーム（改革運動）」の時代をもたらす一因ともなりました。

関連事項

1977年シカゴループ脱線事故
シカゴ・セントラル・エリア・トランジット・プラン（en:Chicago Central Area Transit Plan）
ウェルズ・ストリート・ターミナル

参考文献／外部リンク

Historic American Engineering Record (HAER) No. IL-1, "Union Elevated Railroad, Union Loop"
* Loop Elevated at Chicago-L.org

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