ダイヤモンドクロッシングとは
ダイヤモンドクロッシング(Diamond crossing)とは、
鉄道の線路が平面で交差する箇所に設置される軌道構造の一種で、その中央部分が
菱形(ダイヤモンド形)に見えることから、この名称で呼ばれています。また、頭文字をとってDCと略記されることもあります。線路が直角に交差する箇所や、X字状に交差する箇所に用いられ、特に後者は特殊
分岐器の一部として機能します。シザースクロッシングの中央部分も、4組の
分岐器に囲まれたダイヤモンドクロッシングの一例です。
構造と種類
ダイヤモンドクロッシングには、渡り線の機能を持たず、単に線路を交差させるだけのものも存在します。クロッシング部(レールが同一平面で交わる部分)の構造にはいくつかの種類があります。
固定式: クロッシング部のレールを切り欠いた構造で、最も基本的なタイプです。
可動式: クロッシング部のレール(ノーズ部分)が
列車の進行方向に応じて移動する構造で、可動K字クロッシングとも呼ばれます。これにより、
列車の通過がよりスムーズになります。
弾性可動式: 可動部分の耐久性を向上させた改良型で、より安定した動作が可能です。
日本における事例
日本国内には、多くのダイヤモンドクロッシングが存在します。以下に、その一部を現存するものと現存しないものに分けて紹介します。
現存するダイヤモンドクロッシング
直交
名古屋鉄道 名電築港駅(名鉄築港線と名古屋臨海
鉄道東築線)
伊予鉄道 大手町駅(高浜線と大手町線) - 大手町線は路面電車
とさでん交通 はりまや橋停留場(後免線・伊野線と桟橋線・駅前線) - 路面電車同士
斜交
東日本旅客鉄道 羽前千歳駅(
山形線と
仙山線が交差)
伊予鉄道 古町駅(高浜線と大手町線)-大手町線は路面電車
東日本旅客鉄道 新津駅(
信越本線と
羽越本線が交差)
東日本旅客鉄道 蘇我駅(
内房線と
外房線が交差)
京成電鉄 京成津田沼駅(京成本線と千葉線が交差)
東武
鉄道 下今市駅(鬼怒川線と日光線が交差)
名古屋鉄道 枇杷島分岐点(犬山方面と名鉄岐阜方面が分岐)
京阪電気鉄道 びわ湖浜大津駅(京津線と石山坂本線が交差)
西日本旅客
山陽本線と
岩徳線が交差'>[鉄道]] [[櫛ケ浜駅]
現存しないダイヤモンドクロッシング
富山電気
鉄道線と黒部
鉄道石田港線(1940年廃止)
相模運輸倉庫専用線(1998年廃止)
名古屋鉄道 東犬山駅(1946年廃止)
阪急電鉄
西宮北口駅(1984年廃止)
阪鶴
鉄道 長洲駅(1898年解消)
普通鉄道を含むもの
雄別
鉄道・鶴居村営軌道(1968年廃止)
国鉄札沼線と札幌軌道(1935年廃止)
北海道瓦斯専用線と函館市電本線(消滅時期不明)
国鉄船川線と男鹿森林
鉄道(1959年廃止)
国鉄須賀線と都電赤羽線(1971年廃止)
国鉄
東海道本線貨物支線(
高島線)千若
信号場(消滅時期不明)
日本曹達高岡工場専用線と万葉線高岡軌道線(2004年消滅)
名古屋鉄道 鶴田町信号所(1966年廃止)
名古屋鉄道 森下駅(1971年廃止)
名古屋鉄道 清水駅(1971年廃止)
名古屋鉄道 東名古屋港駅(1974年廃止)
名古屋臨海
鉄道東築線と
名古屋市電東臨港線(1974年廃止)
国鉄西名古屋港線と
名古屋市電下之一色線(1969年消滅)
国鉄西名古屋港線と
名古屋市電築地線(1971年廃止)
日本専売公社専用線と
名古屋市電循環東線(1974年廃止)
京福電気鉄道 元田中駅(1978年廃止)
京阪電気鉄道 四条駅(1972年廃止)
京阪電気鉄道 七条駅(1978年廃止)
京阪電気鉄道 伏見稲荷駅(1970年廃止)
国鉄
奈良線 伏見駅(1921年廃止)
京阪電気鉄道 片町駅(1968年廃止)
山陽電気鉄道 長田駅(1968年廃止)
西日本鉄道 薬院駅(1975年廃止)
路面電車同士
旭川市街軌道
札幌市電(1971年廃止)
東京都電
横浜市電
富山地方
鉄道 富山軌道線(1973年廃止)
名古屋市電
名古屋鉄道 徹明町駅(1988年廃止)
京阪電気鉄道 浜大津駅(1981年廃止)
京都市電
大阪市電
南海電気鉄道→
阪堺電気軌道 阿倍野停留場(1980年廃止)
南海電気鉄道→
阪堺電気軌道 住吉停留場(2016年廃止)
神戸市電
西鉄福岡市内線
まとめ
ダイヤモンドクロッシングは、
鉄道の運行において重要な役割を果たしています。その構造や歴史を理解することで、
鉄道技術の奥深さを感じることができます。現存するダイヤモンドクロッシングもあれば、過去に役割を終え、姿を消したものもあります。これらの事例を通じて、
鉄道の歴史や発展を垣間見ることができるでしょう。
参考文献
浅野明彦「全国廃線
鉄道地図(都道府県別)」『
鉄道廃線跡を歩くIII』
宮脇俊三(編著)、
JTBパブリッシング、1997年
今尾恵介『地図で歩く路面電車の街』けやき出版、1998年
沖中忠順(著)・福田静二(編)『
京都市電が走った街 今昔』
JTBパブリッシング、2000年
札幌LRTの会(編)『
札幌市電が走った街 今昔』
JTBパブリッシング、2003年
辰巳博(著)・福田静二(編)『
大阪市電が走った街 今昔』
JTBパブリッシング、2000年
徳田耕一(編著)『
名古屋市電が走った街 今昔』
JTBパブリッシング、1999年
林順信『都電が走った街今昔』
JTBパブリッシング、1996年