レアリティーズ Vol.2

ビートルズ・レアリティーズVol.2：幻のアメリカ盤ベストアルバム

1980年5月5日、ビートルズのベストアルバム『レアリティーズVol.2』（原題:Rarities）がアメリカでリリースされました。このアルバムは現在までCD化されておらず、多くのビートルズファンにとって入手困難な幻の作品となっています。アメリカでは『ビルボード』誌で最高21位、『キャッシュボックス』誌で2週連続20位を獲得するなど、商業的にも大きな成功を収め、100万枚以上のセールスを記録しています。

米国キャピトル編集盤：貴重な音源の数々

『レアリティーズVol.2』は、アメリカ盤のキャピトル・レコードが編集・発売したアルバムです。英国盤『レアリティーズ』と同名ですが、収録内容は大きく異なります。本作の特徴は、アメリカでは未発表だったレアな楽曲やヴァージョンを多く収録している点です。

例えば、初期シングルにのみ収録されていたリンゴ・スターがドラムを担当した1962年録音の「ラヴ・ミー・ドゥ」や、西ドイツ盤アルバム『サムシング・ニュー』にのみ収録されていた「アンド・アイ・ラヴ・ハー」など、ファン垂涎の貴重な音源が多数含まれています。また、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」や「ペニー・レイン」は、キャピトル・レコードが新たに編集したヴァージョンが使用されています。さらに、ステレオが主流となった時代に、あえてオリジナルのモノラル・ヴァージョンで収録された「ヘルプ！」「ドント・パス・ミー・バイ」「ヘルター・スケルター」も大きな魅力です。アメリカでは『ザ・ビートルズ』のモノラル盤が発売されていなかったため、これらのモノラル・ヴァージョンはアメリカでの初リリースとなりました。このアルバムによって、ビートルズのオリジナル・モノラル盤が再評価されるきっかけとなりました。

収録楽曲と各楽曲解説

アルバムには、英国盤では既発であった「ミズリー」「ゼアズ・ア・プレイス」「シー・ラヴズ・ユー（ドイツ語）」「アイム・オンリー・スリーピング」「ジ・インナー・ライト」「アクロス・ザ・ユニヴァース」「ユー・ノウ・マイ・ネーム」なども収録されていますが、アメリカでは初収録となる楽曲や、異なるミックスバージョンで収録されている楽曲も多く含まれています。

特に注目すべきは、英国盤『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のエンディングに収録されていたノイズと会話に「サージェント・ペッパー・インナー・グルーヴ」というタイトルが初めてクレジットされた点です。アメリカ盤ではこの部分はカットされていましたが、このアルバムで日の目を見ることとなりました。

収録曲の多くは、リリース順に収録されていますが、「ヘルター・スケルター」と「ドント・パス・ミー・バイ」は収録順が逆になっています。また、各楽曲には、それぞれの録音やミックスに関する詳細な情報が付属しており、コレクターにとって貴重な資料となっています。

衝撃的なジャケット：ブッチャー・カバー

『レアリティーズVol.2』のジャケットは、見開き式になっており、内側に1966年に発売後すぐに回収された、衝撃的なブッチャーカバー写真（LP『イエスタデイ・アンド・トゥデイ』のジャケット写真）が使用されています。これは、メンバーの膝下まで写ったトリミング前の写真を使用しており、通常のブッチャー・カバーとは異なる点も注目すべき点です。

まとめ：ビートルズファン必携のレア・アイテム

『レアリティーズVol.2』は、ビートルズの隠れた名盤であり、未発表音源やレア・ヴァージョンを多数収録した、ビートルズ・コレクター垂涎の1枚です。CD化されていないため、アナログレコードでしか聴くことができませんが、その希少性と歴史的価値は非常に高く、ビートルズファンにとって必携のアイテムと言えるでしょう。

もう一度検索