レイナルド・ビニョーネ

レイナルド・ビニョーネ：アルゼンチン軍事政権最後の指導者

レイナルド・ビニョーネ（Reynaldo Benito Antonio Bignone、1928年1月21日 - 2018年3月7日）は、アルゼンチンの政治家、軍人であり、同国が軍事独裁政権下にあった時期に大統領を務めました。しかし、その晩年は、過去の罪に問われ、服役することとなりました。

生涯

ビニョーネはアルゼンチン陸軍で昇進を重ね、中将にまで上り詰めました。1976年にホルヘ・ラファエル・ビデラらが主導した軍事クーデターに参加し、軍事政権の一翼を担いました。1981年にロベルト・エドゥアルド・ビオラが軍事政権の大統領に就任すると、一旦は退役しましたが、ビオラの後を継いだレオポルド・ガルチェリがマルビナス戦争での敗北により解任されると、その後任として大統領に就任しました。

しかし、当時のアルゼンチンは、軍の求心力が低下し、国民の軍事政権に対する反発が強まっていました。ビニョーネは当初、1984年3月に選挙を実施することを発表しましたが、国民の不満は収まらず、政権を維持することが困難となりました。そのため、1983年10月に選挙を前倒しで実施し、同年12月にはラウル・アルフォンシンによる民政移管が実現しました。これにより、ビニョーネは20世紀後半のアルゼンチン軍政時代最後の国家元首となりました。

汚い戦争と晩年

ビニョーネは、軍事政権末期の大統領として、いわゆる「汚い戦争」に関与したとして告発されました。2012年4月には、56人を誘拐、拷問した罪で禁錮25年の有罪判決を受けました。さらに同年7月には、政治犯の子供の略取、隠匿に関連した罪により禁錮15年の刑が加算されました。

2018年3月7日、ビニョーネは軍の病院にて90歳で死去しました。その生涯は、軍人、政治家として権力の頂点を極めた一方で、晩年は過去の罪に苦しむという、複雑なものでした。

ビニョーネの経歴は、アルゼンチンの暗い過去を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

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