レイ・ダンドリッジ

レイモンド・エミット・"レイ"・ダンドリッジ（Raymond Emmitt "Ray" Dandridge、1913年8月31日 - 1994年2月12日）は、ニグロリーグとラテンアメリカの野球界で名を馳せた、アメリカ合衆国出身の野球選手です。主に三塁手として活躍し、右投げ右打ちでした。

プロとしてのキャリア

1933年にデトロイト・スターズに入団したのが、ダンドリッジのプロとしてのキャリアの始まりです。同年中にいくつかの球団を渡り歩き、1934年からはニューアーク（ドジャーズ、イーグルス）で主力選手として活躍しました。

体格は小柄でO脚気味だったそうですが、ダンドリッジは、その柔らかいグラブ捌きと強肩で、早くから守備の名手として知られていました。三塁手としての出場が主でしたが、内野のどのポジションもこなすことができたようです。モンテ・アーヴィンは、ダンドリッジの守備を「金を払って見る価値のある守備だった」と絶賛しています。

打撃面でも、三振が少なく、広角に打ち分けるバットコントロールの持ち主でした。ニグロリーグでは、毎年3割を超える高打率をマークし、ヒットエンドランなども器用にこなしていました。1935年には打率.368を記録し、ニューアークに復帰した1944年には、リーグ最多安打、最多得点、最多塁打、そして打率.370を記録しました。

ラテンアメリカでの活躍

1939年以降、ダンドリッジはより高い収入を求めて、ニグロリーグからラテンアメリカの野球リーグへと活動の場を移しました。1940年以降は、主にメキシコリーグで約11年間プレーしました。1945年頃には監督兼任選手として、当時のメキシコリーグ連続試合安打記録を打ち立て、チームをリーグ優勝に導く活躍を見せました。

1949年にアメリカに戻り、ニューヨーク・キューバンズの選手兼任監督を務めました。

メジャーリーグへの道

ジャッキー・ロビンソンがブルックリン・ドジャースと契約し、メジャーリーグの「カラーライン」が破られ始めた頃、ダンドリッジもクリーブランド・インディアンスのオーナー、ビル・ベックから入団の誘いを受けました。しかし、契約条件が合わず、インディアンスへの入団は実現しませんでした。

1949年、35歳の時にニューヨーク・ジャイアンツと契約し、ジャイアンツ傘下のトリプルA、ミネアポリスに所属しました。同年、トリプルAで打率.363を記録。翌1950年には、ミネアポリスをリーグ優勝に導き、自身もリーグの最優秀選手に選ばれました。しかし、ジャイアンツはダンドリッジをメジャーに昇格させることはありませんでした。ミネアポリスのファームでは、当時若手選手だったウィリー・メイズに様々な助言や援助を与えたと言われています。

殿堂入りと晩年

1987年、ベテランズ委員会によってアメリカ野球殿堂入りを果たしました。メイズは選出に際し、「ダンドリッジはメジャーでの私の大きな力となった。レイは既に私の体の一部だ。この事実は見落とすことができない」と述べています。

1994年、フロリダ州で亡くなりました。

記録と表彰

現役通算打率：.355
キューバ・ウィンターリーグ11年間の通算打率：.282
* メキシコリーグ9年間の通算打率：.343

レイ・ダンドリッジは、ニグロリーグ、ラテンアメリカ、そしてマイナーリーグで輝かしい実績を残し、多くの人々に愛された名選手でした。

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