レオナルド熊

レオナルド熊：笑いを追求した異才のコメディアン

レオナルド熊（本名：井上千蔵）は、昭和を彩ったコメディアンであり、俳優としてもその才能を発揮しました。石倉三郎とのコンビ「ラッキーパンチ」「コント・レオナルド」での活躍は、多くの人々に笑いと感動を与えました。

苦労人から人気コメディアンへ

北海道で生まれた熊は、若い頃に役者を志して上京しますが、なかなか芽が出ず、地方巡業で下積み生活を送ります。浅草に拠点を移してからは、ストリップ劇場の幕間コントで生計を立てながら小料理店を経営するなど、苦労を重ねました。38歳の時には結核を発症し、約5年間の長期入院を余儀なくされます。

1979年、病気療養中に石倉三郎と出会い、「ラッキーパンチ」を結成。どつき漫才で人気を博しますが、熊の体調不良が原因でコンビは短期間で解散。その後、弟子とのコンビを経て「コント・レオナルド」を結成し、芸名を「レオナルド熊」に改めます。

不条理コントで時代を斬る

漫才ブームの中で、熊は政治・経済・時事問題を不条理なコントで茶化すという、異色のスタイルを確立。年配の観客層にも支持され、人気を博しました。1983年には、サントリービールのCMで発した「いかにも一般大衆が喜びそうな」というフレーズが流行語となり、お茶の間の人気者となります。

俳優としての才能も開花

コメディアンとしての人気を得ると共に、俳優としても活躍の場を広げます。テレビドラマ『江戸川乱歩の美女シリーズ・人間椅子』では、美女が座る椅子を愛する職人役を演じ、怪優としての側面も見せました。その他にも、数多くのドラマや映画に出演し、その存在感を示しました。

石倉三郎との絆と別れ

石倉三郎とのコンビは、「ラッキーパンチ」時代から何度も解消と再結成を繰り返しました。二代目「コント・レオナルド」は4年間活動を続けましたが、熊の脚本・演出へのこだわりと、石倉の酒癖の悪さが原因で、再びコンビは解消。その後、熊は石井光三と「劇団七曜日」を立ち上げ、若手育成に力を注ぎました。

晩年と死

晩年は膀胱癌に苦しみながらも、ホープ・マギー司郎ら仲間たちによる「癌祝いの会」が開かれるなど、多くの人々に愛されました。1994年12月11日、急性心不全により59歳で死去。葬儀には、コンビ解消以来会うことのなかった石倉三郎も参列し、別れを惜しみました。

レオナルド熊の遺産

レオナルド熊は、その独特な芸風と人間性で、多くの人々に影響を与えました。弟子であるゆーとぴあ・ホープやブッチー武者など、多くの後進を育て、お笑い界の発展に貢献しました。彼の残した笑いは、今もなお多くの人々に愛され続けています。

主な出演

テレビドラマ
噂の刑事トミーとマツ
北の国から'87初恋
暴れん坊将軍
愛しの刑事
映画
魚影の群れ
男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎
キネマの天地
夜逃げ屋本舗

著書

『ヤッ、熊が来た―いかにも一般大衆にウケる本』
『レオナルド熊の鬼退治』
* 『レオナルド熊のおんな高座』

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