レオニード・クロイツァー

レオニード・クロイツァーの生涯

レオニード・クロイツァー（1884年 - 1953年）は、ロシアのサンクトペテルブルクで生まれた著名なピアニストおよび指揮者です。彼はユダヤ系ドイツ人の家庭に育ち、音楽に囲まれた環境で幼少期を過ごしました。サンクトペテルブルク音楽院にて、彼はアンナ・エシポワのもとでピアノを学び、アレクサンドル・グラズノフから作曲を学びました。1906年にはライプツィヒに移住し、アルトゥル・ニキシュに指揮を学ぶなど、着実に音楽家としてのキャリアを築いていきました。

1908年になるとベルリンに移住し、ここでの活動を通じてピアニスト兼指揮者として広く知られるようになりました。特に、1911年にモスクワでのセルゲイ・ラフマニノフによる自作自演のピアノ協奏曲第2番の指揮をしたことは、彼のキャリアの転機となりました。この頃から彼は様々な録音を行い、特に1915年にはショパンのマズルカがシリンダー蓄音機に記録されました。

1921年にはベルリン音楽大学の教授に就任し、音楽教育に貢献しました。彼の演奏スタイルや音楽的知識は多くの学生に影響を与え、後の音楽界に多大な影響を及ぼしました。1931年には初めて日本を訪れ、その後の来日でもお墨付きを得て1937年から東京音楽学校（現：東京芸術大学）の教授として活躍しました。彼は茅ヶ崎に定住し、指揮者やピアニストとして活動し続けました。

しかし、1942年にはナチス・ドイツによって国籍を剥奪され、無国籍の状況に直面しました。1944年から終戦時には、軽井沢に疎開し、他の多くの音楽家たちと共に生活をしていました。その中にはレオ・シロタやヨーゼフ・ローゼンシュトックなどもおり、彼らもまた戦争の影響を受けていました。1951年には滞日20年の記念演奏会を開催しましたが、次第に健康を害するようになり、1952年には門下生と結婚し、生活の拠点を五反田に移しました。

クロイツァーの最後の公演は1953年10月28日、青山学院講堂において行われましたが、その際に心筋梗塞を起こしました。2日後の30日、狭心症によりこの世を去ります。彼の貢献は演奏技術や教育だけでなく、著作にも及び、多くの学生たちに影響を与えました。代表的な著書には『ピアノ演奏法講義』『装飾音』『或る音楽家の美学的告白』があります。彼の墓所は八柱霊園にあります。

クロイツァーの門下生には多くの著名な音楽家が名を連ねており、彼の影響力は日本の音楽界においても非常に大きなものでした。指揮者の小澤征爾は彼の演奏を見て指揮者になる決心を固め、また、音楽大学の学生である大賀典雄はクロイツァーの授業を受け、その後門下生と結婚しています。彼の存在は、世代を超えて多くの音楽家に受け継がれており、今もなおその影響は色褪せることがありません。

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