レッタ内閣

レッタ内閣：イタリア政治の転換期

レッタ内閣（Governo Letta）は、2013年4月から2014年2月まで存在した、エンリコ・レッタを首相とするイタリアの第62代内閣です。総選挙後の混乱した政治状況を背景に、主要政党が参加する大連立内閣として発足しましたが、短期間でその役割を終えました。

発足の背景：総選挙後の政治的混迷

2013年2月の総選挙は、イタリア政界に大きな混乱をもたらしました。緊縮財政を推し進めたマリオ・モンティ内閣への国民の不満が高まる中、選挙の結果、下院では中道左派連合が過半数を獲得したものの、上院ではどの勢力も単独で過半数に届きませんでした。そのため、中道右派や五つ星運動との連立協議が行われましたが、合意には至らず、政治は膠着状態に陥りました。

さらに、ジョルジョ・ナポリターノ大統領の任期満了が迫る中、後継候補を巡る与野党間の対立も激化しました。中道右派が推薦した候補が中道左派の造反により否決され、代わりに擁立された元首相も中道右派の支持を得られず、大統領選出も難航しました。

大統領再選と大連立内閣の成立

政治的混迷を打開するため、各党はナポリターノ大統領の再選を要請し、議会もこれを承認しました。再選されたナポリターノ大統領は、民主党のエンリコ・レッタに組閣を要請。レッタは中道右派勢力、中道勢力との大連立に合意し、2013年4月、レッタ内閣が発足しました。

内閣の動揺と崩壊

レッタ内閣は、発足当初から困難に直面しました。与党第2勢力を率いるシルヴィオ・ベルルスコーニの議員資格剥奪問題が浮上し、ベルルスコーニは連立離脱を示唆して内閣を揺さぶりました。しかし、側近のアンジェリーノ・アルファノが内閣支持を表明し、ベルルスコーニは党内分裂を避けるため、内閣信任に方針転換しました。その後、ベルルスコーニは上院議員資格を剥奪され、連立を離脱。フォルツァ・イタリアを再結成しましたが、アルファノは新党・新中道右派を結成し、分裂しました。

さらに、2013年12月、レッタの出身政党である民主党の書記長選挙で、マッテオ・レンツィが圧勝しました。レンツィ執行部は、レッタ内閣の改革政策が停滞しているとして総辞職を勧告。レッタはレンツィとの会談後、内閣総辞職を表明し、レッタ内閣は短期間で幕を閉じることとなりました。

レッタ内閣は、イタリア政治の不安定さと、政党間の複雑な駆け引きを象徴する出来事として、記憶されています。

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