レッディ王国

レッディ王国の歴史

レッディ王国（Reddy kingdom）は、南東インドのアーンドラ地方で、14世紀前半から15世紀前半にかけて存在したヒンドゥー王朝で、1325年から1428年の間にその栄華を誇りました。王国の名は、地域の大規模なカーストである「レッディ」に由来し、首都はアッダンキ、コンダヴィードゥ、ラージャムンドリーに位置していました。

1. 起源と成立

レッディカーストの起源は、古代インドのラーシュトラクータ朝にまで遡り、彼らはアーンドラ地方で独自の社会集団を形成していました。カーカティーヤ朝の支配下にあった頃、レッディのリーダーは軍人としても活躍していました。しかし、14世紀にはデリー・スルタン朝の強大な勢力が南下し、1334年にカーカティーヤ朝の首都を攻撃しました。この危機的状況の中、レッディの指導者プローラヤ・ヴェーマ・レッディ（在位1325-1335）は、農民や牧畜民からなる大軍を編成し、デリー・スルタン朝に対抗しました。

プローラヤ・ヴェーマ・レッディは激しい戦闘を通じて、アーンドラ地方の解放に取り組み、1325年には彼の支持を受けたホイサラ朝のバッラーラ3世と共に南インドを支配する力を強めました。また、彼は農政の改善や文芸の復興を推進し、アッダンキから新たにコンダヴィードゥに遷都し、多くの寺院を建立しました。彼の治世は、インド南部のヒンドゥー文化の復興を象徴しています。

2. 周辺諸国との抗争

後を継いだアナヴォータ・レッディ（在位1335-1364）は、ホイサラ朝やマドゥライ・スルタン朝との闘争に巻き込まれます。特に1342年にバッラーラ3世が戦死すると、レッディ王国は不利な状況に立たされました。さらに、1364年には新たに成立したヴィジャヤナガル王国とも対立し、その領土争いが続きました。しかしアナヴォータ・レッディは、合理的な徴税やヒンドゥー教の守護者としての役割を果たし、繁栄をもたらしました。

アナヴェーマ・レッディ（在位1364-1386）にバトンが渡ると、勢力はさらに拡大し、ヒンドゥー教の寺院再建も行いました。彼の治世は領土の最大化に貢献しましたが、王国は内紛や外敵の侵略の危機を常に抱えることになります。

3. 分裂と滅亡

1386年、アナヴェーマ・レッディの死去に伴い、息子のクマーラギリ・レッディ（在位1386-1402）が継ぎましたが、王国は内戦に突入し、さらなる弱体化が進みます。これを機にヴィジャヤナガル王国が侵攻し、アーンドラ地方の広大な領域を手中に収める事態となります。最終的に1428年、レッディ王国は滅亡し、アーンドラ地方は様々な王国の支配を受けることになります。

4. 滅亡後の影響

レッディ王国が滅亡した後、その領土はガジャパティ朝やヴィジャヤナガル王国の影響を受けました。特に、創設後もレッディは軍事力として活用され、その一部族長は新たな王国に仕官しました。18世紀にはニザーム王国の影響を受け、地主としての地位を確立しました。20世紀には貴族としての地位も得た人物も現れ、文化や政治において重要な役割を果たしました。

今日、アーンドラ・プラデーシュ州におけるレッディの人々は、地主のカーストとして位置付けられており、地域の政治においても重要な地位を占めています。

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