レッド・ツェッペリン I

レッド・ツェッペリン I：伝説の幕開け

レッド・ツェッペリンのデビューアルバム『レッド・ツェッペリン I』は、1969年1月12日に発表され、ロック史における重要な転換点となりました。プロデューサーはギタリストのジミー・ペイジ、レコーディング・エンジニアはグリン・ジョンズが担当しました。

制作の背景

1968年夏、ヤードバーズから主要メンバーが脱退し、ジミー・ペイジはバンドの権利を引き継ぎました。彼は、ジョン・ポール・ジョーンズ、ロバート・プラント、ジョン・ボーナムという新たな才能を集め、ニュー・ヤードバーズとして活動を開始。その後、レッド・ツェッペリンと改名し、デビューに向けて動き出しました。

録音

スカンディナヴィア・ツアーで楽曲を練り上げた彼らは、わずか9日間、36時間という短期間でアルバムを完成させました。制作費は1,782ポンド。ライブ感を重視し、オーバーダブを最小限に抑えたレコーディングは、ペイジの主導で行われました。グリン・ジョンズをエンジニアに起用し、空間的な響きを追求したステレオ録音も特徴です。

ペイジは「ヤードバーズ時代からのアイデアに加え、ブルース、ハードロック、アコースティックサウンドを融合させた未知の音楽を作りたかった」と語っています。また、「音楽の光と影」を表現するために、アンビエンスを重視したバックワードエコーなどの技法を取り入れました。

アートワーク

燃え落ちるヒンデンブルク号を点描したジャケットは、ジョージ・ハーティによるもので、強烈なインパクトを与えました。このデザインを巡っては、ザ・フーのジョン・エントウィッスルとの間で論争も起きました。イギリス初回盤の青色ロゴは、希少アイテムとして知られています。裏ジャケットには、クリス・ドレヤが撮影したメンバー写真が使用されています。

チャート・アクション

アメリカで先行発売されたアルバムは、『ローリング・ストーン』誌の酷評にもかかわらず、ビルボードチャートに73週連続でランクインし、最高位10位を記録。イギリスでも6位を記録し、1,782ポンドの制作費に対し、350万ポンド以上の売り上げを達成しました。

評価と影響

当初、音楽評論家からの評価は分かれましたが、その後のバンドの成功とともに、本作の評価は高まりました。現在では、『ローリング・ストーン』誌の「オールタイム・ベスト・アルバム500」で29位にランクインするなど、高い評価を得ています。

ブルースを基盤とした音楽に、ギターリフとシャウトするボーカルを組み合わせたスタイルは、レッド・ツェッペリンの音楽の特徴となりました。「ゴナ・リーヴ・ユー」や「幻惑されて」などの楽曲では、静と動のコントラストを表現し、ダイナミズムを生み出しています。「ブラック・マウンテン・サイド」では、ワールドミュージックへの接近も見られ、後の「カシミール」へと繋がっていきます。

収録曲には既存曲からの引用も多く、著作権問題も指摘されていますが、ペイジは「あくまで引用であり、ZEPなりの新鮮な空気を吹き込むようにしていた」と説明しています。

リイシュー

1986年に初CD化され、1993年にはリマスター版がリリースされました。2014年には最新リマスター版がリリースされ、チャンネルがオリジナルに戻されました。デラックス・エディションには、1969年のパリ公演のライブ音源が収録されています。

収録曲

オリジナル版には、「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」「ゴナ・リーヴ・ユー」「ユー・シュック・ミー」「幻惑されて」「時が来たりて」「ブラック・マウンテン・サイド」「コミュニケイション・ブレイクダウン」「君から離れられない」「ハウ・メニー・モア・タイムズ」が収録されています。2014年版デラックス・エディションには、パリ公演のライブ音源が追加されています。

『レッド・ツェッペリン I』は、レッド・ツェッペリンの音楽的基盤を確立し、後の音楽シーンに多大な影響を与えた、ロック史に残る名盤です。

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