レニエル・ピント

レニエル・エリヒオ・ピント・ガルシア（Renyel Eligio Pinto Garcia）は、1982年7月8日にベネズエラ・ミランダ州ペドログアル市で生まれたプロ野球の投手です。長年にわたり、メジャーリーグ、日本のプロ野球、メキシカンリーグなど、様々な舞台でキャリアを重ねてきました。現在はフリーエージェントとなっています。

キャリア初期とメジャーリーグ時代

ピントのプロ野球人生は、1999年1月にシカゴ・カブスとアマチュアフリーエージェント契約を結んだことから始まりました。カブス傘下で経験を積んだ後、2005年12月にはフアン・ピエール選手とのトレードの一環として、セルジオ・ミトレ、リッキー・ノラスコと共にフロリダ・マーリンズ（現マイアミ・マーリンズ）へとチームを移しました。

マーリンズ移籍後の2006年5月18日、対アトランタ・ブレーブス戦で待望のメジャーリーグデビューを果たします。その後は左腕の中継ぎ投手としてチームを支え、特に2007年には57試合、2008年には67試合、2009年には73試合と、年間を通じて多くの試合でマウンドに上がりました。2010年も開幕から20試合に登板し、防御率2.70とまずまずの成績を残していましたが、同年6月17日に選手枠から外され（DFA）、その後23日にはフリーエージェントとなりました。

スタイル転換とNPB挑戦

マーリンズを離れたピントは、2010年7月2日にセントルイス・カージナルスとマイナー契約を結びます。カージナルス傘下のAAA級メンフィス・レッドバーズで18試合に投げましたが、メジャー昇格の機会はなく、8月21日には再びフリーエージェントとなりました。2011年はどの球団にも所属しませんでしたが、この期間に個人トレーナーの指導のもと肉体改造に取り組み、それまでの力任せな投球からコントロールを重視するスタイルへと変化を遂げました。この成果は、オフに参加したベネズエラのウィンターリーグで現れ、先発として13試合に登板して6勝1敗、防御率2.55、WHIP1.12という好成績を残しました。

この活躍が評価され、2012年1月11日、日本のプロ野球球団である福岡ソフトバンクホークスがピントの獲得を表明しました。ソフトバンクでは先発ローテーションの一角としての期待を受け、4月5日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦で来日初先発のマウンドに上がります。この試合では5回を投げ110球、4安打5四死球と制球に苦しみながらも2失点に抑え、打線の援護と救援陣の力もあり、外国人投手としては2009年のジャスティン・ジャマーノ以来となる来日初登板初先発初勝利を飾るという鮮烈なデビューを飾りました（NPB初登板・初先発・初勝利）。

しかし、次の登板となった4月11日の北海道日本ハムファイターズ戦では、2回1/3で5安打3四球を許し6失点と崩れ、敗戦投手となりました。この登板後、翌日には出場選手登録を抹消され、その後再び一軍のマウンドに立つことはありませんでした。シーズン終了後の10月25日には退団が発表され、11月1日付で自由契約となりました。背番号はソフトバンク時代は「63」でした。

その後のキャリア

ソフトバンク退団後、2013年は所属球団がない状況が続きました。2014年4月19日にはメキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズと契約しましたが、ここではわずか3試合の登板にとどまり、5月6日には早くも自由契約となります。同年オフには再びベネズエラのウィンターリーグに参加しました。

プロリーグでの最後の所属から8年が経過した2022年、ピントは再びメキシカンリーグの舞台に姿を現します。カンペチェ・パイレーツの春季キャンプに招待選手として参加し、厳しい競争を勝ち抜いて4月20日に正式契約を勝ち取りました。しかし、開幕からリリーフとして5試合に登板したものの、防御率7.94と結果を残すことができず、5月9日に契約を解除され、再び自由契約となりました。

選手としての特徴

ピントは、平均球速約145km/h、最速約153km/hの速球に、チェンジアップとスライダーを組み合わせて投球を組み立てます。メジャー通算の与四球率が5.92と示すように、制球に課題を抱える荒れ球傾向があり、暴投も少なくありませんでした。しかし、マウンド上では物怖じしない度胸があり、右打者の胸元を強気に速球で攻め、チェンジアップで打ち取るという明確なスタイルを持っていました。また、粘り強く打者と対峙する精神力も持ち味としていました。投球フォームは、一塁側に大きく踏み出す特徴があり、そのため速球やチェンジアップはシュート回転する軌道を描きました。左投手でありながら、メジャー通算の対右打者被打率が.205と、右打者に対して強いという特筆すべき成績を残しています（NPBでの初奪三振は楽天のルイス・テレーロ選手から記録しました）。

長きにわたり様々なリーグでプレーしたピントは、現在フリーエージェントとして次の機会を待っています。

背番号：
37 （2006年 - 2010年、マーリンズ）
63 （2012年、ソフトバンク）

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