レ・ドゥック・アイン

レ・ドゥック・アイン (Lê Đức Anh)

レ・ドゥック・アイン（黎德英、1920年12月1日 - 2019年4月22日）は、ベトナムの著名な軍人であり政治家で、第2代ベトナム社会主義共和国主席を務めた人物です。彼は特に、ベトナム共産党による厳格な支配を支持する保守派として知られています。彼の軍事的なキャリアと政治的な活動は、ベトナムの歴史の中で重要な位置を占めています。

経歴

アインはトゥアティエン＝フエ省に生まれました。1945年にインドシナ共産党に加入し、同年に設立されたベトナム民主共和国で軍に従事しました。第一次インドシナ戦争、そしてベトナム戦争においては、指揮官として数々の戦闘を指揮し、特にベトコン部隊を率いたことで評価されています。1963年には、ベトナム人民軍の副総参謀長に任命され、さらなる昇進を遂げました。

1975年、戦争の末期にあたり、アインはホー・チ・ミン作戦指揮部の副司令官として活動しました。戦後、ベトナムが統一されると、彼は再び軍の重要な役割を担うことになりました。1976年の12月には、ベトナム労働党の中央委員に選出され、国内政治の舞台においてもその影響力を拡大しました。1980年には上将に昇進し、国防次官と人民軍副総参謀長として勤務しました。

1982年には政治局員に選出され、1984年に大将に昇格しました。アインは1987年まで国防大臣を務め、その間に「国防の戦略的調整」という名のもとで大規模な軍縮政策を推進しました。この政策により、常備軍の兵員数は大幅に削減され、彼は軍事政策においても革新をもたらしました。

1992年、ベトナムの憲法改正を受け、アインは国家主席に選出されました。彼の在任中、国内外の多くの課題に対処しようとしましたが、1996年には健康上の理由で入院し、政治活動に影響を及ぼすこととなりました。その後、彼は1997年に国家主席を退任し、さらに党中央委員会の顧問に選ばれましたが、最終的には引退を余儀なくされました。

アインの人生は、ベトナムの歴史における重要な転換点と深く結びついており、彼は政治的な力を持ちながらも、時代の変化に対応したリーダーとして評価されるべき存在です。彼が残した影響は、ベトナムの政治や軍事において今なお重要な意味を持っています。2019年4月22日、彼はハノイで98歳の長寿を全うし、その生涯を閉じました。

参考文献

• - 『アジア動向年報』1977/1983/1987/1992/1997年版
• - バン・ティエン・ズン『サイゴン解放作戦秘録』新日本出版社、1976年
• - Margaret Slocomb, The People's Republic of Kampuchea, 1979-1989: The revolution after Pol Pot, Silkworm Books, 2003. ISBN 9789749575345
• - 三尾忠志「新しい転機を迎えたインドシナ―ベトナムのドイモイの特徴」、三尾忠志編『ポスト冷戦のインドシナ』日本国際問題研究所、1993年
• - 牛山隆一「第九回党大会前の権力闘争と対外政策」、白石昌也編『ベトナムの対外政策 ― 21世紀の挑戦』暁印書館、2004年

関連項目

• - K5計画
• - ビル・クリントン（1995年8月、米越和解）

もう一度検索