ロイヤル・コーラル・ソサエティ

ロイヤル・コーラル・ソサエティ

ロイヤル・コーラル・ソサエティ（Royal Choral Society）は、イギリスを代表する歴史ある合唱団です。「王立合唱協会」と訳されることもあります。その創設は1871年に遡り、以来、英国音楽界において重要な存在であり続けています。

沿革と設立

合唱団の誕生は、1871年にロンドンに壮麗なロイヤル・アルバート・ホールが完成した記念すべき出来事と深く結びついています。普仏戦争を避けてロンドンに滞在していたフランスの著名な作曲家、シャルル・グノーの指揮により、万国博覧会の開催を祝う合唱コンサートが催されました。この成功を機に、グノーを初代の常任指揮者として迎え、「ロイヤル・アルバート・ホール合唱協会」が設立されたのです。その後、1888年にはヴィクトリア女王の厚い後援を得ることとなり、これを機会に名称を現在のロイヤル・コーラル・ソサエティへと改称しました。

先駆的な活動と功績

ロイヤル・コーラル・ソサエティは、設立当初から革新的で意欲的な演奏活動を展開してきました。特に、作曲家自身を招いてその作品をイギリスで初演したことは、特筆すべき功績です。例えば、1875年にはイタリアの巨匠ジュゼッペ・ヴェルディを迎え、彼の不朽の名作である「レクィエム」のイギリス初演を、作曲家自身の指揮のもとで実現させました。また、1884年にはチェコの作曲家アントニン・ドヴォルザークを招聘し、彼の荘厳な「スターバト・マーテル（Stabat Mater）」のイギリス初演を、これもドヴォルザーク自身の指揮で行っています。さらに、1900年には英国の作曲家サミュエル・コールリッジ＝テイラーの壮大なオラトリオ「ハイアワサの歌（The Song of Hiawatha）」を、作曲家自身の指揮により全曲演奏するという、画期的な取り組みも成功させています。これらの活動は、当時の英国音楽界に大きな影響を与えました。

戦禍からの復興

第二次世界大戦末期、活動拠点であるロイヤル・アルバート・ホールが空襲により被災するという困難に見舞われ、合唱団も活動の立て直しを余儀なくされました。しかし、戦後の復興期において、ロイヤル・コーラル・ソサエティは見事に再建を果たします。この復興を牽引したのが、1928年から実に39年間という長きにわたり常任指揮者を務めた伝説的な指揮者、マルコム・サージェントです。彼は類まれな指導力で合唱団を鍛え上げ、ロイヤル・コーラル・ソサエティを再びイギリスにおける最高峰のシンフォニック・コーラスへと押し上げました。

現在に至る活動

1967年にサージェントが世を去った後も、合唱団の活動は引き継がれました。ウィン・モリス、メレディス・デイヴィス、ラースロー・ヘルタイといった著名な指揮者たちが歴代の常任指揮者としてタクトを執り、その伝統と水準を守り続けました。1995年以降はリチャード・クックが常任指揮者を務めており、現在に至るまでロイヤル・コーラル・ソサエティは、クラシック音楽の重要なレパートリーはもとより、新たな作品にも挑戦しながら、ロイヤル・アルバート・ホールを中心に活発な演奏活動を行っています。

外部リンク

* 公式サイト（英語）

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