ロクサーヌ

「ロクサーヌ」（Roxanne）は、イギリスのロックバンド、ポリスが1978年に発表した楽曲で、アルバム『アウトランドス・ダムール』に収録されています。この曲は、南フランスの娼婦をテーマにした歌詞が特徴で、ポリスの代表曲の一つとして広く知られています。

曲の背景と制作

この曲は、ポリスのリードシンガーであるスティングが、1977年11月にパリのナイトクラブで出会った娼婦にインスパイアされて作曲しました。スティングは、曲のタイトルをホテルのロビーにあった古いポスターの『シラノ・ド・ベルジュラック』の登場人物から取っています。当初、スティングはボサノヴァ風の曲調を考えていましたが、ドラマーのスチュワート・コープランドの提案により、タンゴのようなリズミカルな曲調に変化しました。一般的にはレゲエ調と認識されていますが、スティング自身はタンゴをイメージしていると語っています。

レコーディング中には、スティングが誤ってスタジオのキーボードに座ってしまい、その結果、ピアノの不協和音と笑い声が曲の冒頭に収録されるという偶然の出来事もありました。ポリスは当初、パンク全盛期という時代背景から、ゆっくりとしたテンポのこの曲に自信を持てずにいましたが、マネージャーのマイルズ・コープランドがこの曲を聴いて非常に気に入り、バンドのマネージャーになると同時に、A&Mレコードとの契約を取り付けました。

リリースと反響

「ロクサーヌ」は当初、チャートインを果たせませんでしたが、1979年4月に再リリースされると、イギリスで12位、アメリカで32位にランクインする大ヒットとなりました。この曲は、スティングがソロ活動でも頻繁に演奏する、ポリスの代表的な楽曲の一つとなっています。BBCは当初、娼婦との関係を歌った歌詞の内容からこの曲を放送禁止にしましたが、再リリース時には放送禁止が解除されました。

また、曲の冒頭数秒間はマスターテープの回転速度が安定しないため、ピッチがわずかに下がっているという特徴もあります。

ライブパフォーマンスと評価

「ロクサーヌ」のライブバージョンは、『ポリス・ライヴ』に収録されており、1979年11月ボストンでのライブ音源と、1983年11月アトランタでのライブ音源の両方で聴くことができます。

ローリング・ストーン誌が選んだ「史上最高のロックソング500曲」では、388位にランクインしており、その音楽的な価値が高く評価されています。

ミュージックビデオ

「ロクサーヌ」のミュージックビデオは、3つの異なるバージョンが存在します。1つ目のバージョンは、バンドがステージで演奏している様子を捉えたもので、サウンドチェックのようにも見えます。2つ目のバージョンは、赤い背景の前で演奏するバンドをサウンドステージで撮影したものです。3つ目のバージョンは、2つ目のバージョンとほぼ同じですが、ビデオテープからフィルムに変換されているため、粒子が粗くなっているという違いがあります。

収録曲

7インチシングル（A&M / AMS 7348(UK)）には以下の曲が収録されています。

1. ロクサーヌ - 3:00
2. ピーナッツ - 2:52

参考資料

• - クリス・ウェルチ『ザ・ポリス/スティング全曲解説』丸山京子訳、シンコーミュージック、1996年、37-38ページ
• - スティング『スティング』東本貢司訳、PHP研究所、2005年

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