ロゲルギスト
ロゲルギストは、1950年頃に発足し、数十年間にわたり活動を続けた日本の物理学者たちの同人会です。この同人会は、月例の集まりで、身近な物理現象から宇宙、生命現象、さらには社会現象に至るまで、広範なテーマについて自由な議論を交わしていました。その議論の成果は、エッセイ集『物理の散歩道』シリーズとして結実し、多くの読者に知られることとなりました。
ロゲルギストの創設メンバーの一人である高橋秀俊によれば、ノーバート・ウィーナーの著書『サイバネティックス』（1948年）に感銘を受けた数名の学者が、サイバネティックスの研究会を始めることを相談したことがきっかけでした。当初は「測定」のようなテーマを中心に、比較的頻繁に集まっていましたが、次第に「都合のつきやすい夜に集まって食事をしながら話をする」という形式に変化しました。
当初のメンバーは以下の5名です。
近角聡信 (C)
磯部孝 (I)
近藤正夫 (K)
木下是雄 (K2)
高橋秀俊 (T)
その後、大川章哉 (O)と今井功 (I2)が加わり、最終的に7名のメンバーで構成されることになりました。各メンバーは、エッセイ執筆の際、「ロゲルギストX」という署名を用い、Xには自身のイニシャルを当てていました。
1959年2月、雑誌『自然』（中央公論社）に掲載されたことが、ロゲルギストとしての正式なデビューとなりました。その後、24年間にわたり連載されたエッセイは、『物理の散歩道』シリーズとしてまとめられ、岩波書店から計5冊、中央公論社から『新 物理の散歩道』シリーズとして計5冊が出版されました。
当初、「サイバネの会」などと呼ばれていたこの集まりは、扱うテーマがサイバネティックスの範囲を超えるようになったことから、新しい名称を検討しました。その結果、ロゴス（λόγος）とエルゴン（ἔργον）を組み合わせた造語「ロゲルギーク (Logergik)」が生まれました。この名称は、発案者である高橋秀俊によって、サイバネティックスにエネルギーの観点を加えた「情報とエネルギー」に関する理論体系を構築するという目標を反映したものとされました。その後、雑誌『自然』に寄稿する際に、この「ロゲルギーク」から派生して「ロゲルギスト」という名称が採用されました。
ロゲルギストによる著作は、以下の通りです。
物理の散歩道（岩波書店）
1963年から1972年にかけて出版されたシリーズ
物理の散歩道（1963年8月）
続 物理の散歩道（1964年6月）
第三 物理の散歩道（1966年9月）
第四 物理の散歩道（1969年3月）
第五 物理の散歩道（1972年5月）
2009年9月から新装版が出版
新装版 物理の散歩道（2009年9月, ISBN 978-4-00-005960-2）
新装版 続 物理の散歩道（2009年9月, ISBN 978-4-00-005961-9）
新装版 第三 物理の散歩道（2010年1月, ISBN 978-4-00-005962-6）
新装版 第四 物理の散歩道（2010年1月, ISBN 978-4-00-005963-3）
新装版 第五 物理の散歩道（2010年2月, ISBN 978-4-00-005964-0）
新 物理の散歩道（中央公論社、筑摩書房）
2009年5月からちくま学芸文庫の〈Math&Scienceシリーズ〉で復刊
新 物理の散歩道 第1集（2009年5月, ISBN 978-4-480-09231-1）解説：江沢洋
新 物理の散歩道 第2集（2009年6月, ISBN 978-4-480-09232-8）解説：呉智英
新 物理の散歩道 第3集（2009年11月, ISBN 978-4-480-09233-5）解説：米沢富美子
新 物理の散歩道 第4集（2009年12月, ISBN 978-4-480-09234-2）解説：下村裕
新 物理の散歩道 第5集（2010年1月, ISBN 978-4-480-09235-9）解説：鈴木増雄
精選 物理の散歩道（岩波書店）
2023年11月出版。松浦壮編。ISBN 978-4003395615
ロゲルギストに関する文献は以下の通りです。
磯部, 孝「ロゲルギストたち」『科学』第69巻第9号、岩波書店、1999年。
高橋, 秀俊『コンピューターへの道』文藝春秋、1979年9月。ISBN 4163352406。
同書 pp. 167～169 にもロゲルギストとしての活動の話があります。
「特集 ロゲルギスト『物理の散歩道』のこころ」『科学』第79巻第8号、岩波書店、2009年7月31日。
ロゲルギストについて詳しく書かれています。
外山, 滋比古「思考の整理学」、筑摩書房、1986年4月24日、ISBN 978-4480020475。
同じ学問を専攻する学者たちが創造的雑談をしている例として紹介されています。
ロゲルギストは、異なる専門分野を持つ物理学者たちが、自由闊達な議論を通じて、物理学の枠を超えた幅広いテーマについて考察を深めた、貴重な知的交流の場でした。その成果は、『物理の散歩道』シリーズとして、現代にも読み継がれています。
ロゲルギストの誕生
ロゲルギストの創設メンバーの一人である高橋秀俊によれば、ノーバート・ウィーナーの著書『サイバネティックス』（1948年）に感銘を受けた数名の学者が、サイバネティックスの研究会を始めることを相談したことがきっかけでした。当初は「測定」のようなテーマを中心に、比較的頻繁に集まっていましたが、次第に「都合のつきやすい夜に集まって食事をしながら話をする」という形式に変化しました。
メンバー構成
当初のメンバーは以下の5名です。
近角聡信 (C)
磯部孝 (I)
近藤正夫 (K)
木下是雄 (K2)
高橋秀俊 (T)
その後、大川章哉 (O)と今井功 (I2)が加わり、最終的に7名のメンバーで構成されることになりました。各メンバーは、エッセイ執筆の際、「ロゲルギストX」という署名を用い、Xには自身のイニシャルを当てていました。
活動と出版
1959年2月、雑誌『自然』（中央公論社）に掲載されたことが、ロゲルギストとしての正式なデビューとなりました。その後、24年間にわたり連載されたエッセイは、『物理の散歩道』シリーズとしてまとめられ、岩波書店から計5冊、中央公論社から『新 物理の散歩道』シリーズとして計5冊が出版されました。
名称の由来
当初、「サイバネの会」などと呼ばれていたこの集まりは、扱うテーマがサイバネティックスの範囲を超えるようになったことから、新しい名称を検討しました。その結果、ロゴス（λόγος）とエルゴン（ἔργον）を組み合わせた造語「ロゲルギーク (Logergik)」が生まれました。この名称は、発案者である高橋秀俊によって、サイバネティックスにエネルギーの観点を加えた「情報とエネルギー」に関する理論体系を構築するという目標を反映したものとされました。その後、雑誌『自然』に寄稿する際に、この「ロゲルギーク」から派生して「ロゲルギスト」という名称が採用されました。
書籍
ロゲルギストによる著作は、以下の通りです。
物理の散歩道（岩波書店）
1963年から1972年にかけて出版されたシリーズ
物理の散歩道（1963年8月）
続 物理の散歩道（1964年6月）
第三 物理の散歩道（1966年9月）
第四 物理の散歩道（1969年3月）
第五 物理の散歩道（1972年5月）
2009年9月から新装版が出版
新装版 物理の散歩道（2009年9月, ISBN 978-4-00-005960-2）
新装版 続 物理の散歩道（2009年9月, ISBN 978-4-00-005961-9）
新装版 第三 物理の散歩道（2010年1月, ISBN 978-4-00-005962-6）
新装版 第四 物理の散歩道（2010年1月, ISBN 978-4-00-005963-3）
新装版 第五 物理の散歩道（2010年2月, ISBN 978-4-00-005964-0）
新 物理の散歩道（中央公論社、筑摩書房）
2009年5月からちくま学芸文庫の〈Math&Scienceシリーズ〉で復刊
新 物理の散歩道 第1集（2009年5月, ISBN 978-4-480-09231-1）解説：江沢洋
新 物理の散歩道 第2集（2009年6月, ISBN 978-4-480-09232-8）解説：呉智英
新 物理の散歩道 第3集（2009年11月, ISBN 978-4-480-09233-5）解説：米沢富美子
新 物理の散歩道 第4集（2009年12月, ISBN 978-4-480-09234-2）解説：下村裕
新 物理の散歩道 第5集（2010年1月, ISBN 978-4-480-09235-9）解説：鈴木増雄
精選 物理の散歩道（岩波書店）
2023年11月出版。松浦壮編。ISBN 978-4003395615
参考文献
ロゲルギストに関する文献は以下の通りです。
磯部, 孝「ロゲルギストたち」『科学』第69巻第9号、岩波書店、1999年。
高橋, 秀俊『コンピューターへの道』文藝春秋、1979年9月。ISBN 4163352406。
同書 pp. 167～169 にもロゲルギストとしての活動の話があります。
「特集 ロゲルギスト『物理の散歩道』のこころ」『科学』第79巻第8号、岩波書店、2009年7月31日。
ロゲルギストについて詳しく書かれています。
外山, 滋比古「思考の整理学」、筑摩書房、1986年4月24日、ISBN 978-4480020475。
同じ学問を専攻する学者たちが創造的雑談をしている例として紹介されています。
ロゲルギストは、異なる専門分野を持つ物理学者たちが、自由闊達な議論を通じて、物理学の枠を超えた幅広いテーマについて考察を深めた、貴重な知的交流の場でした。その成果は、『物理の散歩道』シリーズとして、現代にも読み継がれています。
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