ロシアの復活祭

序曲『ロシアの復活祭』作品36について

『ロシアの復活祭』（露: Светлый праздник）作品36は、ニコライ・リムスキー＝コルサコフが1888年に作曲した演奏会用序曲です。この作品は、ロシア五人組の一員であった、すでに亡くなっていたモデスト・ムソルグスキーとアレクサンドル・ボロディンに捧げられました。

作曲の経緯と初演

1888年、リムスキー＝コルサコフは作曲意欲に満ち溢れており、交響組曲『シェヘラザード』を完成させた直後、本作に取り組みました。彼は、ロシア正教の聖歌集『オビホード』からテーマを採用し、ハリストス（キリスト）の復活というテーマを描いています。自伝『私の音楽生活史』によると、幼少期に修道院の近くで過ごした経験がこの作品に影響を与えたと述べています。

初演は1888年12月3日、リムスキー＝コルサコフ自身の指揮によってサンクトペテルブルクで行われました。その後、1890年にベリャーエフ出版から楽譜が出版されました。

この作品は、リムスキー＝コルサコフが管弦楽曲の作曲に終止符を打ち、以降は劇音楽と声楽曲に専念するという転換点を示す作品でもあります。

楽器編成

この作品は、以下のような楽器で構成されています。

木管楽器: フルート3（ピッコロ持ち替え1）、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2
金管楽器: ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ1
打楽器: ティンパニ、トライアングル、バスドラム、シンバル、グロッケン、タムタム
その他: ハープ
弦楽器: 第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

曲の構成

演奏時間は約15分です。楽曲は、2分の5拍子の導入部から始まります。木管楽器がゆっくりと最初のテーマを演奏し、チェロが別のテーマを奏でます。その後、最初のテーマがトロンボーンと弦楽器によって転調を伴って繰り返されます。

Andante lugubreの部分で曲調は一時的に暗くなりますが、Allegroに入ると、導入部の2つのテーマが再び現れ、復活祭の祝祭的な雰囲気が高まっていきます。この楽曲は、古い聖歌のテーマを基にしていますが、単なる引用ではなく、お祭り騒ぎのような賑やかな復活祭の情景を生き生きと描いています。リムスキー＝コルサコフ自身も、復活祭の日の開放感と喜びを表現したかったと述べています。

外部リンク

ロシアの復活祭作品36の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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