ロスチスラフ・ウラジミロヴィチ (トムタラカニ公)

ロスチスラフ・ウラジミロヴィチ：波乱に満ちた生涯

ロスチスラフ・ウラジミロヴィチ（1038年頃 - 1067年2月3日）は、キエフ大公ヤロスラフ1世の孫であり、ノヴゴロド公ウラジーミル・ヤロスラヴィチの子として生まれました。彼はロストフ公（在位期間不明 - 1057年）、ヴォルィーニ公（1057年 - 1064年）、トムタラカニ公（1064年 - 1067年）を歴任し、その生涯は領土と権力を巡る激しい争いに彩られました。

クニャージ・イズゴイとして

1052年に父ウラジーミルが亡くなると、ロスチスラフはキエフ大公位の継承権を失い、「クニャージ・イズゴイ（相続権を失った公）」という立場に置かれました。最初の所領はロストフ公国でしたが、1057年にスモレンスク公ヴャチェスラフが死去し、その兄弟であるヴォルィーニ公イーゴリがスモレンスク公となると、ロスチスラフは叔父にあたるキエフ大公イジャスラフからヴォルィーニ公位を与えられました。

トムタラカニを巡る争い

しかし、自身の境遇に不満を抱いていたロスチスラフは、1064年にヴォルィーニを放棄し、いとこのグレプが領有していたトムタラカニを占領しました。この時、ロスチスラフの父ウラジーミルの側近だったノヴゴロドのヴォエヴォダ（軍司令官）ヴィシャタとポレーが彼を支援しました。グレプの父であるチェルニゴフ公スヴャトスラフの軍勢が迫ると、ロスチスラフはトムタラカニを一時的に放棄しましたが、スヴャトスラフの軍勢が去るとすぐに再びグレプを追放し、その地を統治し始め、近隣の人々からダーニ（貢税）を徴収しました。

毒殺という最期

ロスチスラフの勢力拡大は、ヘルソネスの人々に不安感を与えました。その結果、ヘルソネスから派遣された使者によって毒殺されるという、劇的な最期を迎えました。

家族

V.タチシチェフは、1060年代にロスチスラフがハンガリー王女（おそらくベーラ1世の娘ランカ）と結婚したという説を唱えています（ただし、他の歴史家はこの説に賛同も反論もしていません）。

ロスチスラフには、以下の子供たちがいました。

リューリク - ペレムィシュリ公
ヴォロダリ - ズヴェニゴロド公
ヴァシリコ - テレボヴリ公

ロスチスラフ・ウラジミロヴィチの生涯は、中世ルーシの権力闘争の激しさと、その中で生き抜いた人々の姿を鮮やかに映し出しています。

参考文献
Назаренко А. В. Древняя Русь на международных путях: Междисциплинарные очерки, культурных, торговых, политических отношений IX—XII веков. — М.: Языки Русской Культуры, 2001.
* Назаренко А. В. О династических связях сыновей Ярослава Мудрого // Отечественная история. — М.: Наука, 1994. — № 4—5. — С. 181—194.

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