ロデリンダ

ヘンデルのオペラ『ロデリンダ』

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル作曲のオペラ・セリア『ロデリンダ』（Rodelinda, Regina de' Longobardi）HWV 19は、1725年に作曲されました。『エジプトのジュリアス・シーザー』、『タメルラーノ』に続く作品として知られています。

20世紀以降、再評価が進み、ヘンデルのオペラの中でも特に人気が高く、頻繁に上演される作品の一つとなっています。

概要

物語の舞台は7世紀後半のランゴバルド王国。アントニオ・サルヴィの台本を元に、ニコラ・フランチェスコ・ハイムが改訂しました。史実に基づいたものではなく、コルネイユの戯曲『ペルタリト』から着想を得ています。同じ題材を扱ったオペラには、ジャコモ・アントニオ・ペルティ作曲（1710年）や、テレマンのオペラ『フラヴィウス・ベルタリドゥス』があります。

1725年2月13日、ヘイマーケット国王劇場で初演。フランチェスカ・クッツォーニがタイトルロールを演じ、その衣装が話題を呼びました。若い女性たちがこぞって彼女のガウンを真似たと言われています。

『ロデリンダ』は初演シーズン中に13回、同年12月には8回再演。1731年にも8回上演され、1734年にはハンブルクでも上演されています。

編成

ホルン2
リコーダー2
フルート
オーボエ2
ファゴット
弦
通奏低音

登場人物

ロデリンダ：ソプラノ - ロンバルディア王ベルタリードの妃
ベルタリード：コントラルト（カストラート）- ロンバルディア王、グリモアルドに王位を奪われる
グリモアルド：テノール - ベネヴェント公爵、ベルタリードから王位を奪う
エドゥイジェ：コントラルト - ベルタリードの妹、グリモアルドの婚約者
ウヌルフォ：コントラルト（カストラート）- ベルタリードの友人、グリモアルドに仕える
ガリバルド：バス - トリノ公爵、グリモアルドの仲間
フラヴィオ：ベルタリードとロデリンダの息子（歌唱なし）

あらすじ

第1幕

ロンバルディア王ベルタリードは、グリモアルドに王位を奪われ、死んだと思われています。王妃ロデリンダと息子のフラヴィオは、グリモアルドの監視下に置かれています。グリモアルドはロデリンダと結婚することで自らの権力を正当化しようとしますが、ロデリンダは拒否します。

グリモアルドは、ガリバルドの策略によりエドゥイジェとの婚約を破棄します。

ベルタリードは実は生きており、ウヌルフォが密かに連絡を取っていました。ウヌルフォはベルタリードに現状を伝え、ロデリンダが悲しんでいることを告げますが、逃亡生活を続けるために真相は伏せておく必要があると主張します。

ガリバルドはロデリンダに、グリモアルドと結婚しなければ子供の命はないと脅迫。ロデリンダは苦渋の決断で結婚を承諾します。隠れて見ていたベルタリードは、妻の不実に怒りを覚えます。

第2幕

ガリバルドは、グリモアルドとの関係を解消したエドゥイジェに求婚し、権力を得ようとします。

ロデリンダはグリモアルドに、結婚の条件として息子のフラヴィオを自分の目の前で殺すように要求します。グリモアルドはためらい、実行できません。ウヌルフォはグリモアルドに徳を説きますが、ガリバルドはフラヴィオの殺害を勧めます。

外国人に変装したベルタリードは悲しげな歌を歌いますが、エドゥイジェに正体を見破られます。ウヌルフォも現れ、ロデリンダの貞節を証言します。ベルタリードは自分が生きていることを明かし、ロデリンダに会い、疑ったことを謝罪しますが、グリモアルドに見つかり捕らえられます。ベルタリードとロデリンダの悲しい二重唱で幕を閉じます。

第3幕

ベルタリードは牢に囚われていますが、ウヌルフォは疑われておらず、監視役を任されています。エドゥイジェはウヌルフォに、牢から秘密の抜け道へ続く鍵を渡します。

牢の中でベルタリードは剣を手に入れ、近づいてきた人物を刺してしまいますが、それはウヌルフォでした。ウヌルフォは傷を負いながらも、ベルタリードを秘密の抜け道へ導きます。エドゥイジェとロデリンダも駆けつけますが、ベルタリードが残した上着とウヌルフォの血を見て、ベルタリードが死んだと思い嘆き悲しみます。

一方、グリモアルドは罪悪感に苛まれ、眠りにつきます。ガリバルドはグリモアルドを暗殺しようとしますが、ベルタリードに阻止されます。ガリバルドは倒れ、グリモアルドはベルタリードを恩人として王位を返還し、エドゥイジェに再び求婚します。ロデリンダはベルタリードと再会し、喜びの合唱で幕が閉じられます。

演奏

『ロデリンダ』は、1920年のゲッティンゲン・ヘンデル音楽祭で初めて再演されました。

もう一度検索