ロバート・エジソン・フルトン・ジュニア

ロバート・エジソン・フルトン・ジュニア：冒険家、発明家、そして写真家

1909年、ニューヨーク州マンハッタンに生まれたロバート・エジソン・フルトン・ジュニアは、多才な人物として知られています。発明家として70件以上の特許を取得し、冒険家として世界中をオートバイで旅し、さらにプロの写真家としても活躍しました。その生涯は、探求心と創造性に満ちた、実に波瀾に富んだものでした。

幼少期と教育

フルトンの父は企業の社長、母方の祖父は西部開拓時代に駅馬車路線を運営していました。彼のミドルネーム「エジソン」は、祖父の友人である発明家トーマス・エジソンに由来します。蒸気船で有名なロバート・フルトンの末裔という説もありますが、フルトン自身はそれを確かめようとはしませんでした。

10代の頃には、家族と共にキューバやエジプトを旅行するなど、早くから世界への関心を抱いていました。スイスやアメリカの名門校を経て、ハーバード大学で建築学の学位を取得。その後、ウィーン大学で建築学を1年間学びました。

オートバイ世界一周旅行

23歳になったフルトンは、ウィーンでの学業を終えると、直ちに帰国せず、オートバイによる世界一周旅行に出発しました。ダグラス製のバイクで、ロンドンから東京まで約4万キロメートル、22か国を1年半かけて旅しました。この間、4万フィートものフィルムで世界各地の建築物を撮影しました。太平洋を船で渡り、アメリカ大陸を横断して、1933年にニューヨークへ帰国しました。

この冒険の記録は、1937年に出版された旅行記『One Man Caravan』として結実しました。カイバル峠での襲撃、イラクでの盗賊からの逃走、トルコの牢獄での一夜、インドでのラージャとの出会いなど、スリリングなエピソードが綴られています。彼はアメリカ各地で講演会を行い、この旅の体験と撮影した映像を披露しました。1983年には、旅の記録をまとめた90分の映画『The One Man Caravan of Robert E. Fulton Jr.』を製作・公開。その後もオートバイ旅行を続け、『Twice Upon A Caravan』という映画も制作しています。

航空関連の仕事と発明

帰国後、フルトンはパンアメリカン航空に就職し、撮影技術を生かして飛行船の飛行ルートの撮影に携わりました。その後、航空機器製造会社、コンチネンタル社を設立します。第二次世界大戦中は、初の地上式飛行訓練装置を発明しましたが、軍の採用には至らず、これを改良して固定式機上射手訓練装置「ガンエアストラクター」を発明。海軍と陸軍に500台以上を納入しました。

戦後、この装置の移動に時間がかかることを課題に、自動車にも転用可能な飛行機「エアフィビアン」を設計・製作。これは世界初の正式な認定を受けた空陸両用車となり、チャールズ・リンドバーグも飛行させました。商業的には成功しませんでしたが、その1機は国立航空宇宙博物館に収蔵されています。

1950年代には、CIA、アメリカ海軍、アメリカ空軍のために「フルトン回収システム」を開発しました。「スカイフック」とも呼ばれるこのシステムは、空中から人を地上に回収するための装置で、1996年までアメリカ空軍で使用されていました。また、海軍の潜水工作員の回収のための装置「シースレッド」も開発しました。

私生活

フルトンは1935年にフローレンス・コバーンと結婚し、3人の息子をもうけました。1982年に離婚後、アン・ボワロー・スミスと再婚。2004年、コネチカット州ニュータウンで亡くなりました。

まとめ

ロバート・エジソン・フルトン・ジュニアは、冒険家、発明家、そして写真家としての才能を遺憾なく発揮した稀有な人物でした。彼の生涯は、探求心と創造性、そして行動力によって彩られ、現代社会にも多くの影響を与え続けています。彼の残した記録は、未来への挑戦を続ける人々にとって、大きなインスピレーションを与え続けることでしょう。

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