ロバート・ブレイク

ロバート・ブレイク：イングランド海軍の礎を築いた英雄

ロバート・ブレイク（1598年 - 1657年）は、17世紀のイングランドにおける激動の時代、清教徒革命（イングランド内戦）と第一次英蘭戦争において、卓越した軍事的才能を発揮した人物です。彼は、陸軍から海軍へと転身し、革新的な戦術を導入することで、イングランド海軍の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと初期の活躍

ブレイクは、イングランド南西部の富裕な商人の家庭に生まれました。オックスフォード大学で学んだ後、故郷に戻り、政治の世界へ足を踏み入れます。1640年には、短期議会と長期議会の庶民院議員に選出され、政治家としてのキャリアをスタートさせました。

1642年に第一次イングランド内戦が勃発すると、ブレイクは議会派に味方し、故郷で兵を挙げます。陸軍大佐として、内戦や英蘭戦争で議会派の軍を指揮し、その軍事的な才能を開花させていきました。

南西部での防衛戦

第一次内戦において、ブレイクはイングランド南西部で王党派との戦いを繰り広げました。1644年には、ライム・レジスが王党派の軍勢に包囲されますが、ブレイクは市民からなる防衛隊を指揮し、2ヶ月にわたる包囲に耐え抜きました。また、トーントン包囲戦でも粘り強い抵抗を見せ、王党派の軍を釘付けにし、議会派の戦略的優位に貢献しました。これらの功績により、ブレイクは市民から英雄として称えられるようになりました。

海軍への転身と英蘭戦争

1649年、ブレイクはゼネラル・アット・シー（事実上の海軍最高司令官）に任命され、海軍へと転身します。当時のイングランドでは、議会派に積極的に加わった提督が少なかったため、陸軍軍人が海軍の指揮を執ることがありました。ブレイクは、艦隊司令官として王党派の艦隊を撃破し、イギリス海峡の制海権を確保しました。

1652年、イングランドとオランダの間で第一次英蘭戦争が勃発すると、ブレイクはイングランド艦隊を率いてオランダ海軍と激戦を繰り広げました。グッドウィン・サンズの海戦（ドーバーの海戦）を皮切りに、数々の海戦で指揮を執り、一進一退の攻防を繰り広げました。

戦術の革新と海軍の発展

ブレイクは、海戦を通じて単縦陣を用いた艦隊戦術を編み出し、大きな戦果を挙げました。この戦術は、その後の海戦の様相を一変させるものでした。また、彼は、商船と軍艦の混用を廃止し、艦隊司令長官が軍法会議を召集できるように規定するなど、海軍の組織改革にも取り組みました。さらに、重装備の戦列艦建造を促進し、イングランド海軍の戦力増強に尽力しました。

地中海での活躍と最期

第一次英蘭戦争後も、ブレイクは海軍活動を続けました。1655年には、バルバリア海賊掃討の任務に就き、海賊の根拠地を壊滅させました。英西戦争が勃発すると、スペイン海岸で海上封鎖に従事し、1657年にはカナリア諸島サンタ・クルス・デ・テネリフェを襲撃し、スペイン艦隊を撃破する勝利を挙げました。

しかし、帰国の途中で熱病に倒れ、1657年8月17日にプリマス沖で亡くなりました。彼の功績を称え、ウェストミンスター寺院に葬られました。

ロバート・ブレイクは、その卓越した軍事的才能と革新的な戦術によって、イングランド海軍の発展に大きく貢献しました。彼の名は、イギリス海軍の歴史に永遠に刻まれています。

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