短期議会

短期議会とは

短期議会（たんきぎかい、Short Parliament）は、1640年4月13日にイングランド王チャールズ1世によって召集された議会です。しかし、国王と議会の対立が深刻化し、わずか3週間後の5月5日に解散されました。この議会は、同年11月3日に召集された長期議会との対比から、その短さゆえに「短期議会」と呼ばれています。

背景

1629年、チャールズ1世は国王大権を振りかざし、議会の権利を制限する「権利の請願」を事実上廃止しました。これに抗議した議会を解散し、以後11年間、議会を召集しない親政を強行します。この間、議会の承認を得ないまま様々な課税を行い、カンタベリー大主教ウィリアム・ロードやストラフォード伯爵トマス・ウェントワースを重用して行った弾圧政策は、国民の不満を増大させました。その影響はイングランドだけでなく、同君連合のスコットランドやアイルランドにも及んでいました。

1639年、チャールズ1世はロードの進言を受け、イングランド国教会の祈祷書をスコットランドに強制しました。これに反発したスコットランドは国民盟約を結成して反乱を起こし（第一次主教戦争）、国王軍との対立が始まりました。国王軍はスコットランド盟約軍に対峙しますが、戦況が不利と見て和平を申し入れ、戦うことなくベリック条約が締結され、戦争は終結しました。しかし、宗教問題を根源とする対立は解消されず、チャールズ1世は武力による解決を検討しました。

短期議会の召集と解散

新たな戦費を必要としたチャールズ1世は、ストラフォード伯の進言を受け入れ、11年間続いた親政を停止して、1640年4月13日に議会を召集しました。これが短期議会です。しかし、議会側はチャールズ1世の専制政治を終わらせることを望み、両者の対立は深刻でした。

庶民院では、ジョン・ピムが各地から寄せられた専制政治に対する不満を基に、2時間に及ぶ演説（「苦情のカタログ」）を行いました。これに同調した庶民院は、専制政治を改めない限り、戦費の補助金を出すことはないと表明しました。チャールズ1世は貴族院を味方につけて庶民院を懐柔しようとしましたが、庶民院の態度は一層硬化しました。さらに、スコットランドへの同情もあり、国王との会議は決裂しました。

4月29日には、ロードの強引な宗教政策に対する批判が議会から上がり、チャールズ1世は5月5日に議会を解散させました。その会期はわずか3週間でした。国王寄りの庶民院議員エドワード・ハイドは、解散によって体制支持の穏健派が敵に回ることを危惧し、ロードに解散の撤回を進言するように求めましたが、受け入れられませんでした。5月11日には、解散に怒った民衆が暴徒化し、解散の首謀者とされたロードの邸宅であるランベス宮殿を襲撃する事件が起こりました。

短期議会後の状況

戦費を得られなかったチャールズ1世は、アイルランド議会の協力を得て軍を集めようとしましたが、兵力は不足していました。一方、スコットランド盟約軍はすぐに動き出し、両軍は激突しました。その結果、盟約軍が圧勝しました（8月28日、第二次主教戦争、ニューバーンの戦い）。リポン条約によって、チャールズ1世はこの戦争の賠償金を支払うことになり、そのために11月3日に再び議会が召集されることになりました。これが長期議会です。長期議会は1653年まで続き、イングランド内戦を経て、チャールズ1世の処刑へと繋がっていきました。

短期議会は、チャールズ1世の専制政治に対する国民の不満が頂点に達した時期に召集され、その後のイングランド内戦への重要な転換点となりました。わずか3週間という短期間ではありましたが、その後の歴史に大きな影響を与えた議会として知られています。

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