ロビー・デュプリー

ロビー・デュプリー（Robbie Dupree、1946年 12月23日 - ）は、1980年代初頭に発表した「ふたりだけの夜（Steal Away）」や「ホット・ロッド・ハート（Hot Rod Hearts）」といった楽曲のヒットによって広く知られる、アメリカ合衆国のシンガーです。メロウで洗練されたサウンドは、AORや後のヨット・ロックと呼ばれるジャンルにおいて高い評価を受けています。

生い立ち

ロバート・デュプイとして、1946年 12月23日にニューヨークのブルックリンで生まれました。幼少期に彼が特に音楽的な影響を受けたのは、R&B界の偉大なアーティストであるマーヴィン・ゲイやサム・クックでした。これらのアーティストから受けた影響は、彼の後の音楽スタイルにも反映されていると言えるでしょう。

キャリア

彼のキャリアは1980年に本格的に軌道に乗り始め、デビュー曲「ふたりだけの夜（Steal Away）」が全米ビルボードホット100チャートで6位を記録する大ヒットとなりました。続くシングル「ホット・ロッド・ハート（Hot Rod Hearts）」も同チャートで15位と健闘し、一躍その名を広めました。この成功を受けて、彼は1981年のグラミー賞において最優秀新人賞にノミネートされる栄誉を得ましたが、この年の受賞はクリストファー・クロスが果たしました。ビルボードチャートにおける彼の最後のシングルヒットとなったのは、1981年6月に最高位54位を記録した「ブルックリン・ガールズ（Brooklyn Girls）」でした。

1980年代半ば以降も彼は音楽活動を続け、1987年には当時世界レスリング連盟として知られていたワールド・レスリング・エンターテイメント（WWE）がリリースしたテーマソング集『Piledriver: The Wrestling Album II』に、楽曲「Girls in Cars」を提供しています。この曲のインストゥルメンタル版は、タッグチーム「ストライク・フォース」（ティト・サンタナとリック・マーテル）の入場テーマとして、1987年から1989年にかけて使用されました。

新しい世代のリスナーからも関心を集める中、2010年にはスペクトラ・レコードと契約し、元Eストリート・バンドのキーボード奏者であるデヴィッド・サンシャスを迎えたアルバム『タイム・アンド・タイド』を発表しました。同年5月21日には、テレビ番組『レイト・ナイト・ウィズ・ジミー・ファロン』に出演し、1970年代後半から1980年代初頭にかけて流行したスムーズなウェストコースト・サウンド、通称ヨット・ロックを称賛するジミー・ファロンの企画に参加しました。

近年の活動も精力的に行っており、2011年には「オールスター・ロック・コンサート・シリーズ」の一環として、ジョン・キャファティ、オーリアンズ、アンブロージアのデヴィッド・パック、ジョン・フォード・コーリー、ウェット・ウィリーのジミー・ホール、ジョー・リン・ターナー、ジョー・ブーチャードといった著名なアーティストたちと共にツアーを行いました。2012年にはカバーアルバム『Arc of a Romance』をリリース。さらに2013年には、「セイル・ロック2013」ツアーにクリストファー・クロス、プレイヤー、ゲイリー・ライト、アル・スチュワート、オーリアンズ、ファイアフォール、ジョン・フォード・コーリーらと共に参加し、夏にアメリカとカナダを巡りました。2018年の夏には、「ロック・ザ・ヨット2018」ツアーでアンブロージア、プレイヤーのピーター・ベケット、スティーヴン・ビショップと共演。2019年には、自身のキャリアや最近の活動について語るため、ポッドキャスト番組「A Bunch of Malarkey」に出演するなど、現在も多方面で活動を続けています。

ディスコグラフィ

ロビー・デュプリーは、これまでに複数のスタジオアルバム、ライブアルバム、そしてコンピレーションアルバムを発表しています。中でもデビューアルバム『Robbie Dupree』（1980年）は全米51位を記録し、代表曲「ふたりだけの夜」「ホット・ロッド・ハート」を収録しています。その他、『Street Corner Heroes』（1981年）、『Carried Away』（1989年）、近年の『Time and Tide』（2010年）などがあります。シングルとしては、上記の代表曲の他に「ブルックリン・ガールズ」などが知られており、現在も精力的に新曲を発表しています。

ロビー・デュプリーの音楽は、そのメロディアスな旋律と洗練されたアレンジで、今なお多くの音楽ファンに愛されています。彼のキャリアは、時代を超えて愛されるAOR/ヨット・ロックサウンドの魅力と共に歩んでいます。

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