ロン・ダーリング

ロナルド・モーリス・ダーリング：知性と才能を兼ね備えた名投手

ロナルド・モーリス・ダーリング（Ronald Maurice Darling）は、1960年8月19日、ハワイ州ホノルル生まれ。フランス系カナダ人の父と中国系の母を持ち、英語、フランス語、中国語を話すトライリンガル。イェール大学で東南アジア史を専攻した異色の経歴を持つ元プロ野球選手（投手）です。

ドラフト指名からメッツでの躍進

1981年のMLBドラフトでテキサス・レンジャーズから1巡目（全体9位）で指名されプロ入り。1982年にニューヨーク・メッツへ移籍し、1983年9月6日にメジャーデビューを果たしました。

1984年には先発ローテーション入りし、12勝を挙げ新人王投票で5位に。1985年にはオールスターゲームに選出されるなど、メッツのエースとして活躍しました。16勝6敗、防御率2.90の好成績を記録する一方で、リーグワーストの114与四球を記録するなど、荒れ球も魅力の一つでした。

1986年 ワールドシリーズ制覇

1986年は、ダーリングにとってキャリアハイのシーズンとなりました。開幕6連勝を記録するなど15勝を挙げ、チームの地区優勝に大きく貢献。ヒューストン・アストロズとのリーグチャンピオンシップシリーズでは、第3戦に先発。ボストン・レッドソックスとのワールドシリーズでは、第1戦に先発し7回1失点と好投。第4戦では7回無失点で勝利投手となり、チームのワールドシリーズ制覇に大きく貢献しました。この活躍で、サイ・ヤング賞の投票では5位に入っています。

1987年以降

1987年は不調でしたが、1988年には自己最多の17勝を記録。ロサンゼルス・ドジャースとのリーグチャンピオンシップシリーズでは敗戦投手となり、チームも敗退。1989年には14勝を挙げ、初のゴールドグラブ賞を受賞しました。1990年はリリーフに回るなど不本意なシーズンとなりました。

エクスポズ、アスレチックス時代、そして引退へ

1991年、モントリオール・エクスポズへ移籍。その後、オークランド・アスレチックスへ移籍し、メッツ時代のチームメイト、キース・ヘルナンデスへの敬意を込めて背番号「17」を着用しました。1992年には15勝を挙げ復活。1994年のストライキでシーズンが打ち切られた後、1995年に現役を引退しました。

引退後

引退後は、メッツ専属のブロードキャスターとして活躍しています。知的な語り口と野球への深い愛情で、多くのファンを魅了しています。

プレースタイル

最速90マイルを超える速球と、多彩な変化球を武器に打者を打ち取る本格派右腕。制球難に苦しむこともありましたが、持ち前の高い野球センスでカバーし、メッツのエースとして長年活躍しました。また、ゴールドグラブ賞を受賞するほどの高い守備力も持ち合わせていました。

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