ローヒルカンド

ローヒルカンドの歴史

ローヒルカンド（Rohilkhand）は、インドのウッタル・プラデーシュ州の北西部に広がる歴史的な地域です。この地域の名前は、アフガン系のローヒラー族が居住していたことに由来しています。ここでは、ローヒラー族がこの地に根を下ろし、さまざまな歴史的出来事を経て、その文化や社会が形成されてきました。

17世紀からのローヒラー族の進出

17世紀から18世紀にかけて、ローヒラー族はこの地域に定住し、次第に自らの支配地域を広げていきました。特に1705年、アフガニスタンからダーウード・ハーン・ローヒラーがインドに移住し、ローヒラー族の指導者としての地位を確立しました。彼の死後、養子のアリー・ムハンマド・ハーンがその後を継ぎ、地域での権力を強化しました。

アリー・ムハンマド・ハーンは、アワド太守のサフダル・ジャングに対して税の納入を拒否するほどに成長しました。しかし、1751年から1752年には、アワド太守の要請を受けたマラーター勢力がローヒルカンドに攻め入ってきました。この攻撃により、ローヒラー族は深刻な危機に陥り、一部は逃亡を余儀なくされました。ただし、アフマド・シャー・ドゥッラーニーの北インド侵攻があったため、マラーター軍は撤退を余儀なくされました。

ナジーブ・ハーンの台頭

18世紀後半、ローヒルカンド北部ではナジーブ・ハーンという族長が登場しました。彼はナジーバーバードを拠点として、地域の支配を強化し、同時にアフガニスタンのドゥッラーニー朝との同盟を結びました。1761年の第三次パーニーパトの戦いでは、マラーター軍に対して勝利を収め、ローヒラー族の影響力を再び強めました。

しかし1772年、マラーターの功臣マハーダージー・シンディアがローヒルカンドに再び攻撃を仕掛け、ナジーブ・ハーンの墓廟を破壊するという無慈悲さを見せました。彼は一時的にローヒルカンドを占領しましたが、アワド太守がローヒラー族に味方したため、再びマラーター勢力は撤退しました。

ローヒラー戦争とアワド併合

その後、ローヒラー族はアワド太守に対する報酬を支払わなかったため、1753年に問題が発生しました。アワド太守のシュジャー・ウッダウラはイギリスに援助を求め、ローヒラー族は1764年の戦いで敗北しました。1774年にはローヒルカンドがアワドに併合され、ラームプルとナジーバーバードだけが残される結果となりました。この時、ラームプルのローヒラー族はイギリスと軍事保護条約を締結し、藩王国としての地位を保持しました。

ナジーバーバードのローヒラー族は独立を保ち、1788年にはナジーブ・ハーンの孫であるグラーム・カーディル・ハーンがデリーを一時占領しましたが、1789年にはマラーターにより暗殺され、その支配は終わりました。

そして1801年、アワド太守のサアーダト・アリー・ハーン2世がローヒルカンドをイギリスに割譲したことにより、この地区の運命は新たな章を迎えることとなりました。ローヒルカンドはその後、イギリスの影響下で変わり続ける歴史をたどることになります。

この地域は、アフガン系のローヒラー族の興亡を通じて、多様な文化と歴史を育んできたことがうかがえます。現在でも、ローヒルカンドの地名や伝説には、その歴史を忍ばせる要素が多く残っています。

もう一度検索