ワイヤンダンチ駅

ニューヨーク州サフォーク郡ワイヤンダンチに位置するワイヤンダンチ駅は、ロングアイランド鉄道（LIRR）の本線の一部であるロンコンコマ支線が乗り入れる駅です。特にアコーン・アベニュー付近、ストレート・パス（サフォーク郡道2号線）とロングアイランド・アベニューの交差点に近い場所にあります。利用者は無料で駅周辺の駐車場を利用でき、これらの施設はサフォーク郡またはバビロン町によって維持管理されています。

歴史

ワイヤンダンチ駅の歴史は古く、最初の駅は1875年5月に「ウェスト・ディアーパーク」という名称で開業しました。当初、駅施設や線路は全て地表面に設けられていました。しかし、1920年代から1930年代にかけて、駅周辺では列車と車両の衝突を含む痛ましい事故が頻発しました。特にストレート・パス、18丁目、リトル・イースト・ネック・ロードにある踏切が危険箇所でした。この状況に対し、ワイヤンダンチの住民は繰り返し抗議の声を上げました。その結果、1935年にはニューヨーク州公共サービス委員会（PSC）がLIRRに介入を命じます。授業時間中は18丁目とストレート・パスの踏切に踏切番を配置し、特に線路の北側に住む学童が南側の南20丁目にある校舎へ安全に横断できるようにすることを義務付けたのです。

小型鉄道と初期の再建

興味深いエピソードとして、1948年12月には「New York Live Steamer Society」という模型鉄道愛好会が、LIRR所有地の敷地内にミニチュアの蒸気機関車による鉄道を設置したことがありました。これは無料で乗車できたため非常に人気を博し、1951年までには3台の小型機関車（うち2台は蒸気、1台はディーゼル）が運行されていました。しかし、1953年にLIRRがその土地を必要としたため、この小型鉄道はフリーポートへ移転することになります。

駅舎自体も変化を遂げます。最初の駅舎は1958年2月に取り壊され、同年6月には場所を移して新しい駅舎が建設されました。この駅舎は当時のベスページ駅の建物に似たデザインでした。この建て替えの一環として、LIRRは駅施設の拡充も行います。ストレート・パスと18丁目の間の線路両側の約4,700平方メートルの土地を賃借し、駐車場の拡張やプラットホームの延伸（約90メートルから約274メートルへ）を実施し、より長い列車に対応できるようにしました。しかし、1960年代に入ると、近隣のハーフ・ホロウ・ヒルズでの高級住宅開発が進んだ影響で、ワイヤンダンチ駅の駐車場は新たな問題を抱えることになります。多くの通勤者がハンティントン・ステーションよりも近いワイヤンダンチ駅を利用するようになったためです。

電化計画と駅存続の危機

1983年初頭、MTA/LIRRは本線のヒックスヴィル駅からロンコンコマ駅までの区間を電化する計画を発表しました。この計画では、サフォーク郡内の通勤時間短縮を目指す一環として、開業から108年が経過していたワイヤンダンチ駅での鉄道営業を廃止することが検討されていました。同様の廃止案はパインローン駅やブレントウッド駅についても浮上していました。この廃止計画は、ワイヤンダンチの多様な住民グループを強く反発させ、彼らは団結して市民団体を結成し、駅の存続を求めて住民を動員した抗議活動を展開しました。この動きに対し、共和党のオーウェン・ジョンソン上院議員と民主党のパトリック・ハルピン下院議員が超党派で協力し、MTAに対しワイヤンダンチ駅とパインローン駅の鉄道サービスを維持するよう説得しました。

住民の抗議活動が実を結び、廃止は回避されました。その代わりに、LIRRは利用者の安全を確保するための措置を講じることに同意しました。具体的には、住民が線路を横断したり、電化に伴う第三軌条に触れたりすることを防ぐため、線路沿いにフェンスを追加設置すること、そして南27丁目とディアー・ストリート（新駅のすぐ東側）に2つの鋼製歩道橋を建設することでした。また、1958年に建設された駅舎は再度取り壊され、1987年に新たな駅舎が建設・移転されました。この再建は、ロンコンコマ駅、セントラル・アイスリップ駅、ブレントウッド駅、ディアーパーク駅と同時に進められた大規模な計画の一部でした。1987年に整備されたこれら5駅の中で、ワイヤンダンチ駅は元の「ウェスト・ディアーパーク」駅があった場所に最も近い位置に移転しています。この新たな駅での電気鉄道サービスは、1988年1月18日に開始されました。

公共交通指向型開発「ワイヤンダンチ・ライジング」

近年、ワイヤンダンチ駅は地域開発の中心地となっています。2013年7月13日には、LIRRや州、地方自治体の関係者が出席し、「ワイヤンダンチ・ライジング（Wyandanch Rising）」と呼ばれる大規模な公共交通指向型開発（TOD）プロジェクトが着手されました。これは約40エーカーの敷地を使った計画で、駅周辺の活性化を目指すものです。プロジェクトには、駅に併設される約900台収容可能な駐車場や新しい駅舎を含む複合交通施設、さらにはアパートメントや小売店舗からなる複合施設の建設が含まれています。この拡張されたLIRR駅施設は、将来的なイースト・サイド・アクセス計画により、LIRR列車がグランドセントラル駅へ乗り入れる際に予想される利用者増加に対応するための役割も担っています。

駅構造

現在のワイヤンダンチ駅は、単線軌道の北側に設けられた単式ホームを1面有しています。このホームの有効長は12両編成の列車に対応しています。

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