ワイルドワンダー

ワイルドワンダー：ダートの王者とその血脈

2002年生まれの競走馬、ワイルドワンダーは、日本のダート界にその名を刻んだ名馬です。1400メートルから1800メートルのダート戦を主戦場とし、後方待機からの鋭い末脚で数々の勝利を収めました。その戦績は、中央競馬の重賞競走3勝を含む9勝すべてがダート戦という輝かしいものでした。

華麗なる重賞制覇

ワイルドワンダーの活躍は2007年に開花します。この年、彼はアンタレスステークスとプロキオンステークスの2つの重賞競走を制覇し、久保田貴士調教師にとっても初の重賞タイトルをもたらしました。さらに翌2008年には根岸ステークスも制し、中央競馬の重賞競走3勝という偉業を達成しました。これらの勝利は、彼の卓越したダート適性と、レース運びの巧みさを証明するものです。

GIレースでの活躍と惜しまれる引退

重賞競走での活躍にとどまらず、ワイルドワンダーはGI級レースでも素晴らしい走りを見せました。マイルチャンピオンシップ南部杯で2着、フェブラリーステークスで3着と好成績を収め、距離への不安視の声もあったジャパンカップダートでも5着と健闘しました。ダート戦においては着外2回という安定した成績を誇り、5度のGI競走すべてで入着を果たしました。しかし、2008年のジャパンカップダートを最後に脚部不安により長期休養。復帰後もかつての輝きを取り戻すことができず、2010年5月のオアシスステークス12着を最後に現役を引退しました。

種牡馬としての第二のキャリア

引退後は北海道新ひだか町のアロースタッドで種牡馬としての道を歩み始めます。10年間の供用期間中に27頭に種付けを行い、21頭が血統登録されました。産駒数は多くありませんでしたが、その中から地方競馬で活躍する馬を輩出しました。2016年の佐賀桜花賞を制したスイシンと、2017年の背振山賞を制したアニメートという2頭の地方重賞勝ち馬は、ワイルドワンダーの遺伝子を受け継ぐ優秀な競走馬として、その才能を証明しました。特筆すべきは、この2頭が母スイートパッセ（父テイエムオペラオー）の全姉妹である点です。2020年10月に種牡馬を引退し、現在は生まれ故郷の静内フジカワ牧場で繋養されています。

血統と繋がる名馬たち

ワイルドワンダーの血統背景にも、数々の名馬が名を連ねています。全妹ストロベリーパフェの仔には、地方重賞6勝を挙げたキャプテンキング（父ファスリエフ）がいます。母の半妹スターリーナイト（父スターオブコジーン）の仔には、2004年テレビ埼玉杯を制したベルモントソレイユがいます。さらに、祖母の半妹Heat Is On（父サンシャインフォーエヴァー）の仔には、2003年フェアリーステークスを制したマルターズヒート、そしてその産駒には重賞3勝を挙げたマルターズアポジーがいます。

ダート界に刻まれた足跡

ワイルドワンダーは、その華麗なる競走成績と、優秀な産駒を残した種牡馬としての貢献により、日本の競馬史に名を刻みました。ダート戦を駆け抜けたその姿は、多くの競馬ファンにとって忘れられない記憶として、長く語り継がれていくことでしょう。彼の血統は、これからも日本の競馬界を盛り上げていくことでしょう。

もう一度検索